【完結】朱雀と白虎は黒を狩る

ルコ

文字の大きさ
上 下
18 / 28
第五章 野外フェス

2

しおりを挟む

「レンさん、こんにちは。」

「えっ?マコちゃん??どうしてこに?まだ開場前だよね??」

「ホグハンターとして仕事で来てます。」

「あぁ、コバルトか・・・最近多いみたいだもんね。バッドに入った子が濃い青のホグ?を出したらヤバいんだっけ?
一回だけクラブでそれらしき状況を見た事があるよ。多分、その濃い青のホグが普通にキマってる子のホグを攻撃してるっぽいとこ。
俺には何も見えないけど、ジュンさんが・・・コバルトは食った事ないはずなのに、見えるらしいんだよね・・・」

はぁっっ??!!!

「えっと・・・ジュンさんは・・・本当にコバルトを食った事がないんですか?」

「そのはずだけどね。」

ステージの方をチラッと見ながらそう言って苦笑するレンさん。

「本人に聞いてみたら?」

ええっっ?!!!

ジュンさん、いや、ジュン様がこっちに歩いて来てるぅっっ?!!って、もう来ちゃったよっ?!

はうっっ!!い、色気がヤバい・・・これは・・・ラスボスだろ・・・うん。魔王様だな・・・ケイの事を魔王っぽいって思ってたけど、こっちが本物の魔王だ・・・ケイは・・・う~ん、ラノベの異世界ものの宰相タイプの方が近いかも??って、何考えてんの?!落ち着け俺!!

「レン、本番はもうちょっと全体的に低音を効かせろ。せっかくの野外なんだし、限界まで響かせようぜ。ん?・・・知り合いか?」

「ジュンさん、マデリカの常連さんだよ。ほら、朱雀メンタルクリニックの・・・」

「あぁ、あれか?コバルト対策か??ご苦労さん。若いのにホグハンターなのか?すげぇな。」

あわわわっっ?!!

ジュン様に労われちゃったよっ?!

「い、いえ・・・そんな大層なもんじゃ・・・・」

そんなしどろもどろな俺の前にケイがスッと出る。

「初めまして。朱雀メンタルクリニックの朱雀慧と申します。秋月響弥先生のお父様ですよね?私、キョウ先生には大変良くしていただいております。
こちらはホグハンターの相方で白崎真琥。私も白崎もかなりの頻度でマデリカとレンさんにお世話になっているんですよ。
本日はこのエリアを担当しますのでどうぞよろしくお願いします。」
 
そうそう!俺が初めてクラブのパーティーでJUNを見た後、あまりのカッコ良さに興奮してケイに喋り倒したら、「精神科医の先輩の父親だ」って言われてびっくりしたんだよね。顔もそっくりなんだって!超絶美形の遺伝子すげぇ!!

「おう?あぁ、キョウの同業者か?お前らも大変だなぁ。ドラッグであんな実体が出るとかわけわかんねぇわ。ま、楽しく遊んでる分にはいいけどよ。バッドに入った時がなぁ・・・せめて攻撃とかしなけりゃな。
自分が落ちるだけならいいが、周りを巻き込むのは良くねぇわ。」

「本当に。私もそう思います。それでも治療には有効なんですが・・・
ところでジュンさんには本当にホグが見えるんですか?過去にコバルトを摂取した事があるという事でしょうか?」

「いいや、コバルトはねぇよ。だが似たようなのは昔、若い頃に食った事ある。あれだろ?そのホグさえ出なけりゃMDMAとそんなに変わらねぇんだろ?
だから大体どんな感じか分かるっつーか・・・あの高揚感を思い出して、そういう食ってるヤツら独特の波長に合わせてみたら何となく見えたんだわ。」

「へぇ?面白いわね。たまに摂取した事がなくても見える人がいるけど、感受性が強すぎて何らかの精神疾患が見られる場合が多いのよ。
『過去に違うドラッグを摂取していて、それを思い出したら見えた』なんて人、今までにいたかしら?
ジュンさん?あたしは木村真黄。コバルト開発者の一人です。詳しくお話を伺いたいわぁ。いっその事コバルトを摂取してみる?あなたなら完璧なホグを出せそうだし、マコちゃんみたいに初めてでも濃紺ホグを狩れそうだわね。
あっ!逆に摂取せずにイメージだけでホグを出せるかも?!それは今まで試した事もなかったわ・・・それが出来るのならコバルトじゃなくて、MDMAでもホグを出せるって事になるのか・・・う~ん、色々興味深い。あぁ~実験にだけでも付き合って欲しいなぁ・・・」

うっわぁ・・・木村博士が止まらないよ・・・ジュン様もドン引きしてるから止めて欲しい・・・

「・・・おいおい、何かすげぇなこの姉ちゃん。オレの周りにいる女どもとはまた違った破天荒さだな・・・」

うん。確かに木村博士は破天荒だけど・・・姉ちゃん扱いするジュン様もすげぇわっ!!

「失礼致しました。木村博士は薬物の事になると暴走しがちなんですよ。単なる薬物オタクの戯言と聞き流していただければ・・・」

「お、おう?まぁいいけどよ。」

「それでですね、今回のフェスではバッドに入りやすいコバルトもどきが出回っているらしく、それを摂取すれば、濃紺のホグよりタチが悪い黒ホグが出る可能性があるんです。
ここだけの話でお願いしますが、その黒ホグは他の青ホグを攻撃するだけではなく、喰ってしまう。その場合、喰われた方は精神崩壊をして自殺してしまったケースもありまして・・・ですので・・・ジュンさん、無理を承知でお願いします。
もしよろしければ・・・万が一、黒ホグや濃紺ホグを目にした時には、我々に連絡していただけないでしょうか?」

「ん?それくらいかまわねぇよ?黒や濃紺のホグが見えたら連絡するわ。電話すりゃいいか?」

えぇぇっっ?!ジュン様も協力してくださるのっ??!


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ARIA(アリア)

残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……

研修医と指導医「SМ的恋愛小説」

浅野浩二
恋愛
研修医と指導医「SМ的恋愛小説」

さんざめく左手 ― よろず屋・月翔 散冴 ―

流々(るる)
ミステリー
【この男の冷たい左手が胸騒ぎを呼び寄せる。アウトローなヒーロー、登場】 どんな依頼でもお受けします。それがあなたにとっての正義なら 企業が表向きには処理できない事案を引き受けるという「よろず屋」月翔 散冴(つきかけ さんざ)。ある依頼をきっかけに大きな渦へと巻き込まれていく。彼にとっての正義とは。 サスペンスあり、ハードボイルドあり、ミステリーありの痛快エンターテイメント! ※さんざめく:さざめく=胸騒ぎがする(精選版 日本国語大辞典より)、の音変化。 ※この作品はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。

捜査一課のアイルトン・セナ

辺理可付加
ミステリー
──アイルトン・セナ── F1史上最速との呼び声も高いレーサーながら、危険な走法で 「いつか事故るぞ」 と言われ続け、最期はまさにレース中の事故で非業の死を遂げた天才。 そのアイルトン・セナに喩えられるほどのスピード解決。 僅かな違和感から、「こいつだ」と決め打ちかのように行う捜査手法。 それらが「いつか事故るぞ」と思われている様から 『捜査一課のアイルトン・セナ』 の異名を取った女、千中高千穂、階級は警部補。 お供の冴えない小男松実士郎を引き連れて、今日も彼女はあらゆる犯人たちのトリックを看破する。 バディもの倒叙ミステリー、開幕。 ※『カクヨム』『小説家になろう』でも連載しています。

✖✖✖Sケープゴート ☆奨励賞

itti(イッチ)
ミステリー
病気を患っていた母が亡くなり、初めて出会った母の弟から手紙を見せられた祐二。 亡くなる前に弟に向けて書かれた手紙には、意味不明な言葉が。祐二の知らない母の秘密とは。 過去の出来事がひとつづつ解き明かされ、祐二は母の生まれた場所に引き寄せられる。 母の過去と、お地蔵さまにまつわる謎を祐二は解き明かせるのでしょうか。

夜の動物園の異変 ~見えない来園者~

メイナ
ミステリー
夜の動物園で起こる不可解な事件。 飼育員・えまは「動物の声を聞く力」を持っていた。 ある夜、動物たちが一斉に怯え、こう囁いた—— 「そこに、"何か"がいる……。」 科学者・水原透子と共に、"見えざる来園者"の正体を探る。 これは幽霊なのか、それとも——?

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

処理中です...