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第三章 マッドサイエンティスト??
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しおりを挟む二日が過ぎた。その日の夕方五時前にケイの車でK大に到着。ケイと二人で木村博士の研究室へと向かう。ん?扉を開ける前からゲン先生の声が聞こえて来る??
「だ~か~らっ!!何でコバルトもどきのレシピをその辺にほったらかしてるんだよっ?!わざとか?わざとだよな??!何がしてぇんだよっ、あんたはっ??!」
「え~?わざとじゃないわよ??た・ま・た・ま、そのレシピが落ちてた・だ・け・よ??!」
「ウソくせぇっ!!!そのせいでオレもリュカも大変だったんだ。
何だあれは??黒ホグしつこ過ぎんだろっ?どんだけ出て来んだよっ?!あぁもうっ!!あれはあんたのせいだろぉよっっ?!!」
「知らない。あたし関係ないし?」
「あ~もうっ!!ムカつく、ムカつく、ムカつくっ!!あんたいくつだよっ??!子どもみたいな言い訳と責任逃れするんじゃねぇよっっ?!!」
「えっと・・・ゲン、落ち着いて・・・??」
リュカくんの声が聞こえた所で、ノックをして研究室に入った。
う~ん・・・大丈夫かな・・・
「ゲン、うるさい。木村博士、ご無沙汰しております。」
「あら、ケイ!いらっしゃい。そうなの~ゲンがうるさいのよ~
ん?そっちの子がマコちゃんね?!はじめまして。木村 真黄です。
ふふっ、マコちゃん!!想像通りだわっ!ん~かわいい♡リュカちゃんもかわいいし、いいわね~、これぞホグハンターって感じ!!美少年がホグを出して狩る姿・・・しかもマコちゃんの相棒は白虎なんでしょ?想像だけでも尊い・・・
そして、腹黒眼鏡系美青年のケイ×ヤンチャっぽいのに純真そうなマコちゃんと、口の悪いヤンキー系美青年のゲン×清楚でかわいいリュカちゃん・・・ありがとうっっ!!これで白飯五杯はいけるっっっ!!!」
・・・えっと・・・何この人??!!!
び、美少年って俺もリュカくんも二十歳超えてるんですけどっ??
「・・・木村博士、マコもリュカもドン引きしてます。
それより、黒ホグは意図的ですか?」
「ゲンもだけど、ケイも相変わらず単刀直入ねぇ。さて、どうかしら?だいたい、なぜホグが実体化出来るのかさえ解明されていないのに、意図的か?って聞かれてもねぇ??」
「別にホグの実体化自体を解明しようとは思ってませんよ。
それに向精神薬や幻覚剤を摂取した際に、元々トラウマがある人間がバッドトリップしやすいのは仕方がない。
それが事実。素人が好き勝手に食っていいもんじゃない。
そうならないように導く存在がいて、初めて治療に繋がるのはよくご存知でしょう?
コバルトでトラウマをホグとして出させるのは危険だって事も分かった上で、あえて出させて治療している。狩れば高い確率でPTSDが消えるから。
こっちは患者もオレたちも真剣勝負なんだ。
それを踏まえてもう一度聞きます。
黒ホグは意図的ですか?」
「う~ん、遠回しだけどあたしに『オレたちは真剣なのにお前は興味半分で意図的に黒ホグを作ったんだろ?』って聞き方が腹黒眼鏡っぽいww!!嫌み?それ嫌みよねw??
そうねぇ・・・あたしの理想の腹黒眼鏡様に近いケイには大サービスしちゃおうかな?
まず、黒ホグを出す作用を持つ成分なんかない。まぁ、ホグ自体を出す成分ですら分かってないから当然よね?人の思いが実体化するなんて普通に考えたらあり得ないもの。
最初は、トラウマや思念を何らかの形にしたものが、薬の作用で幻覚として摂取者に見えれば・・・くらいのイメージだったのよ。で、その幻覚を消して治療する、と。
でもコバルトによってホログラムみたいなのが出せて、しかも実体化しちゃったのよね。3Dプリンターみたいな事が人の精神内で出来て飛び出しちゃったの。」
そうか。ホグを出すのが薬のどの成分かいまだに分かってないんだ。
自分が思ったものが実体化出来るなんて、普通は有り得ないもんな。
木村博士は続ける。
「人間の精神って言うか、思いって本当に不思議じゃない?
あたし、幽霊も残留思念が実体化・・って、実体化はしてないか。ホグみたいに触れたり出来なさそうだし。可視化?本来の意味は違うけど・・・うん、ニュアンス的には『可視化』したものだと思ってるのよね。死んだ側のか、見えた側のかは分からないけど。思いや恨みの強さで可視化したって仮説。
それを踏まえても、思いの強さって恨みつらみや憎悪が一番強いと思うの。だから・・・」
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