上 下
45 / 51
番外編 MAG復活ライブ

ユイ 3

しおりを挟む

 ナオさんがドラムスティックで「カン、カン、カン、カン」とカウントを取った後、いきなり爆音ギターがかき鳴らされる。その爆音なグルーヴに早くも体が持って行かれそうになる。

そんな中、ジュン様がゆっくりと頭を上げ、目を見開き歌い始める。

あぁ、ジュン様だ・・動画で何百回と見たジュン様だ。
ファーストシングルになった曲から始まり、次々と曲が続いていく。

ジュン様の生ボーカルは、ヤバいなんてもんじゃなかった。

とてつもない色気と迫力がジュン様の全身から匂い立つ。本気で魅了の魔法を使っているかのようだ。
そしていつもより低い声でフロアに迫り来るように歌いあげ、シャウトする様は何というか、上手く言葉に出来ないけど、オーラがすごくてとにかく神々しい。


美と破壊を歌声で司る艶麗なる魔王。


がんばって中二病的に言うとそんな感じ??


いつの間にか俺も満員のフロアに突入。もみくちゃにされながら一番前まで辿り着き、かぶりつきでライブを堪能した。曲に合わせて飛び跳ねる。

フロアの前の真ん中辺りではモッシュが始まる。けど、それに参加しない人には当たらないよう、さり気なく注意しているようだった。俺も混ざりたかったけど、後で絶対にシグに怒られると思って自重した。

けど、ジュン様の歌声はもちろんの事こと、音もカッコよすぎて、大好きな曲が目の前で演奏される生のライブの迫力に感動しすぎて、もう、もう、踊ってないと頭が爆発しそうだよ!

爆音ギターの存在感は当然として、このうねるグルーヴはベースの音もちゃんと聞こえているからなんだろうな。カイさんのギターに全ての音が負けてしまいそうなのに、リズム隊やアキさんのギターの音もキチンと調和されていて素晴らしい。これがPAの力なんだろう。

流石レンさん!!

そして今は、フロアのお客さん一人一人もMAGのメンバーのような一体感がある。

今までMCもなくひたすら曲が続いていたのに、音が途切れた。ジュン様がマイクに向かって言う。

「待たせたな。」

フロアは大興奮!泣いてる人もいるよ。俺の目にも涙が滲む。

ragが始まる。フロアの盛り上がりも最高潮だ。みんな拳を振り上げて、
「rag rag rag」の大合唱!!

本当にこの空間が一つになった。人や音が入り混じっての一空間。まるでこのライブハウスが丸ごと一生命として生きているかのよう。これがMAGのライブなんだな。

この場に存在出来た事に感謝する。

その後、アンコールも含め、ライブが終了する。時間にしたら一時間も経ってないのに、俺は遠い世界に旅をして来たような気分だった。

放心状態の俺に、シグがコーラを手渡してくれる。

「素晴らしかったですね。」
 
「うん、うん・・何か言葉が出ないや。」

シグは、汗まみれの俺をギュッと抱きしめてくれた。

 
 その後、レンさん、兄さん、冬崎先輩、カグヤ、シグ、俺、で、MAGの打ち上げに参加。俺とシグと冬崎先輩は未成年なので、居酒屋だけどジュースで乾杯。

今日のライブの素晴らしさを感謝を込めて語ったらMAGのメンバーに爆笑された。

「いや、ユイも面白れぇわ!!今時そんな格好をしてるくらいだから、気合い入ってるなぁ、とは思ってたけど予想以上だな。気に入ったよ。」

そう言ってナオさんに肩を抱かれる。
俺は嬉しいけど・・シグの目が怖いっ!

「やめなよナオ。シグくんがすごい目で見てるよ?いいかげんにしないと僕も怒るけど?」

ひっ?!ヒロさんの目も怖いです!!

「まっ、ユイの可愛さはな~ちっさい分、レンを超えてるからな!愛でちまうのは仕方ねぇよ。」

カイさんも何言ってんの??!カグヤが、そこにカグヤがいるからっ!!

「あら、カイさん。あたしの弟を愛でるのなら、あたしを愛でてくれない?それともあたしがカイさんを愛でてあげましょうか?」

「おい、カグヤ。親の前で生々しい話はやめろ。お前はもっと慎みを持て。」

ジュン様がカグヤを止めてるっ?!
大爆笑するアキさん。

「あ、あの自由奔放の極みだったジュンが『慎み』だってっww!!!ウケる!カグヤちゃん最強だなっ!」

そんな感じで打ち上げでも楽しくすごし、CDに MAGのメンバー全員のサインをもらい、シグと俺、兄さんと冬崎先輩は一次会だけで帰って来た。



ーーーーーーーー

長くなったんで、もう一話増やします。
全四話+おまけ二話です(汗)。


ルコ
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

上司と俺のSM関係

雫@3日更新予定あり
BL
タイトルの通りです。

忍ぶれど… 兄は俺の光――息が届くほど近くにいるのに、けっして触れてはならぬ想い人

志生帆 海
BL
忍ぶれど…(翠・流編 完全版) 兄は俺の光――息が届くほど近くにいるのに、けっして触れてはならぬ想い人 あらすじ 以前投稿した『忍ぶれど』と『色は匂へど』を1本にまとめ『完全版』として、加筆しながら再連載していきます。(旧バージョンの『忍ぶれど』と『色は匂へど』は掲載を終了しています) **** 俺には二つ年上の兄がいる。 実の兄なのに、憧れを通り越した愛を秘かに抱いている。 俺だけの兄だ。 どこにも誰にもやりたくなかったのに どうして行ってしまうんだ? 明日から更に報われない切なる想いを抱いて、生きていく。 一体いつまで待てばいいのか… 「俺の翠」 そう呼べる日が果たして来るのだろうか。 **** しっとりと実の兄弟のもどかしい恋心を描いています。 幼少期から始まるので、かなり焦れったい展開です。 ※『重なる月』https://www.alphapolis.co.jp/novel/492454226/179205590のスピンオフ小説になります。 こちらは『重なる月』の攻、張矢丈の兄達の物語になります。 単独でも読めます。

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

なんか金髪超絶美形の御曹司を抱くことになったんだが

なずとず
BL
タイトル通りの軽いノリの話です 酔った勢いで知らないハーフと将来を約束してしまった勇気君視点のお話になります 攻 井之上 勇気 まだまだ若手のサラリーマン 元ヤンの過去を隠しているが、酒が入ると本性が出てしまうらしい でも翌朝には完全に記憶がない 受 牧野・ハロルド・エリス 天才・イケメン・天然ボケなカタコトハーフの御曹司 金髪ロング、勇気より背が高い 勇気にベタ惚れの仔犬ちゃん ユウキにオヨメサンにしてもらいたい 同作者作品の「一夜の関係」の登場人物も絡んできます

処理中です...