上 下
44 / 51
番外編 MAG復活ライブ

ユイ 2

しおりを挟む

 さぁ!!MAG復活ライブの当日だ。

俺は気合いを入れて身支度をする。何と、レンさんが昔着ていたっていう、ガーゼシャツと、ボンテージパンツを数着譲り受けたんだ!

ボンテージパンツは、今時のファッションとしても履ける黒のスタイリッシュな物と、ロンドンパンクな赤のタータンチェックな物。ここはやっぱり赤のタータンチェックでしょう?!

ガーゼシャツも着て、髪の毛を立たす。スタッズの付いたチョーカーとリストバンドも着ける。ピアスは外してないからこのままで。

よし!完璧、かな?

「あらあら気合い入れちゃってw」

げっ、カグヤだ。こいつも今日来るんだよな。嫌だけどカイさんの為に我慢しよう。

「俺もう行くからな。カグヤも来るんだろ?」

「もちろん。じゃあ、レヴェルリーでね。」

ふぅ、最小限の絡みで済んだ。ライブ前に気力を消耗したくないからな。ドクターマーチンの10ホールを履いて家を出る。

 シグの家に寄って荷物を置き、レヴェルリーに出発だ!
シグは俺の格好を褒め、頬を撫でてくれた。頭だとセットが崩れるから。その気遣いが嬉しい。

電車を乗り継いで、それでも三十分くらいで駅に着く。駅からは徒歩八分くらい。ネオンが眩しい飲み屋街を歩いて行く。普通のサラリーマン風のおじさん達の中に、おそらくライブに行くであろう人達が混じっていてテンションが上がる。

レヴェルリーの前には、すでにたくさんの人が群がっていた。まだ開演一時間前なのに。やっぱりみんなMAG復活を待ち望んでいたんだな。

入口の扉に今日のフライヤーが貼られていて、思わず顔がニヤける。

そうだ!入口でスタッフだって言わなきゃ。う~緊張する。シグがそっと腰を押してくれた。

「あ、あの、MAGのスタッフのユイとシグです。」

「はい、聞いておりますよ。このスタッフパスを見える所に貼ってくださいね。」

俺はボンテージパンツに付いているスカート部分にステッカーを貼った。シグもズボンに貼り付けている。

よしっ!楽屋に突入だ!

楽屋がある二階に上がる。スタッフにパスを見せ、MAGの楽屋をノックする。

「はい。うわぁ!ユイくん最高に格好いいよ!!俺より似合ってるんじゃない?」

レンさんがドアを開け、俺を見るなり絶賛してハグをして来た。

「ありがとうございます。俺、ボンテージパンツ欲しかったからめちゃくちゃ嬉しいです。」

「よぉっ!来たな。今回のフライヤーを作ってくれたユイだ。カイ以外は初めてだろ?お前ら自己紹介しろ。」

ジュン様!畏れ多いんでやめてください!!!とりあえず俺からあいさつをしよう。

「初めまして、ユイと申します。この度はフライヤーを作らせていただいてありがとうございました!」

「硬い硬い!礼を言うのはこっちだろ?オレはドラムのナオ。フライヤー良かったぜ。つか、マジで昔のレンだな・・」

「そうそう。バンドを始めた頃の初期衝動を思い出したよ。ちょうどユイくんと同じくらいの歳だったからね。当時の僕たちの感性と似てるんじゃないかな?うん、いいね。君に会ってみたかったんだよ。
あっ、ベースのヒロです。よろしく。」

「だなぁ。オレはギターのアキ。オレも普段はすっかり普通のお父さんになってるけど、当時を思い出したもんな。ユイのその格好も懐かしすぎて涙出そうだわ。まぁ、これからもよろしくな。」
 
うわぁ!!俺、MAGのメンバー全員にあいさつされちゃった?!!って興奮してたらカイさんにハグされて、シグに引っ剥がされた。そうだ、カイさんを忘れてた!

「なんだよ。おれにもあいさつくらいさせろよ!なぁ?ユイ、その格好すげぇ良いわ~おれが初めて会った頃のレンそのものじゃね?」

「カイ様、他のみなさまはハグまでしておりませんよ。カグヤ様に報告いたしますがよろしいですか?
ナオ様、ヒロ様、アキ様、申し遅れましたが、私、ユイと付き合っておりますシグと申します。どうぞよろしくお願いします。」

「ちっ!レンもしてただろうが!」

「ユイにハグしても良いのは、私とレン様とアスラ様だけです。あっ、ジュン様もですね。」

「おい、こら、シグ!何でジュンはよくておれはダメなんだよっ?!」

「信頼度・・ですかねぇ?」

「プハッ!シグって言ったか?お前なかなかいいキャラしてんなw 
おい、カイ!お前の可愛い彼女も来るんだろ?大人しくしとけよ。」

「うるせぇよ。ナオ、カグヤは可愛いとかって言葉でおさまるヤツじゃないからな。下手に絡むなよ。」

それには激しく同意する。

「了解。けど話してみたいし打ち上げには連れて来いよ。」

だ、大丈夫かな??

ドアがノックされる。スタッフさんが顔を出して言う。

「そろそろ時間です。お願いします。」


いよいよMAG復活ライブだ!!


 MAGのメンバーがステージの上でチューニングをしている。
そんなに広くない空間にお客さんがぎっしりだ。トントンと、肩を叩かれ振り向くと、冬崎先輩と兄さん。

「いよいよだね!すっごく楽しみ。俺もMAGのライブ初めてだし。」

嬉しそうな冬崎先輩の横で、多分仏頂面の兄さん。無表情だけど機嫌が悪いのが何となく分かるよ?
シグが耳打ちをして来た。

「キョウ様は、アスラ様がジュン様の歌っている姿を見て、カッコいいと思われるのがお嫌なんですよ。」

な、なるほど。

そうこうしている内に始まりそう。
ちなみに今日はMAGのワンマンライブだ。

さぁ!ついに開演だ!!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

目が覚めたら、カノジョの兄に迫られていた件

水野七緒
BL
ワケあってクラスメイトの女子と交際中の青野 行春(あおの ゆきはる)。そんな彼が、ある日あわや貞操の危機に。彼を襲ったのは星井夏樹(ほしい なつき)──まさかの、交際中のカノジョの「お兄さん」。だが、どうも様子がおかしくて── ※「目が覚めたら、妹の彼氏とつきあうことになっていた件」の続編(サイドストーリー)です。 ※前作を読まなくてもわかるように執筆するつもりですが、前作も読んでいただけると有り難いです。 ※エンドは1種類の予定ですが、2種類になるかもしれません。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

処理中です...