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ユイ カフェ マデリカ

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 冬崎先輩に誘われて、ジュン様の恋人、レンさんが働くカフェ、マデリカに行く事になった。

その当日の土曜日の昼前、俺はシグの家に来ていた。マデリカ場所を知っているシグに連れて行ってもらうためだ。

冬崎先輩が待ち合わせして一緒に行こうか?と誘ってくれたが、シグが言うには絶対兄もいるとの事。いきなり兄と道端で会って挨拶して一緒に歩くのもどうかと思うし緊張もするので、現地集合にしてもらった。

マデリカはここから電車で一駅。徒歩だと約二十分。電車で三駅離れた街の中心部に近い場所には二号店もあるらしい。

俺とシグはゆっくりと歩いて行く事にした。

「あ~兄に会うの緊張する。基本無表情なんだろ?俺、感情が読めない人苦手なんだよなぁ。」

「そうですね。キョウ様に直接お会いするのは私も緊張致します。ですが、神に会うと思えば良いのです。神の前では我々はみな等しく矮小な存在。それを自覚していれば、神に咎められる事はありません。故に・・・」

「ストップ!・・ダメだ。シグに兄の事を聞いた俺が間違ってたよ。」

「おや、キョウ様の素晴らしさについてなら何時間でも語っていられるのですが・・・」

「うん、分かったからもういいよ。自分の目で見て判断するから。」

「そうですね。それが一番良いと思います。」

 そんな事を喋っている間にマデリカに着いた。あぁ!緊張がMAXだよ!!

「いらっしゃいませ。」

あっ!この人がレンさん?確かに俺と似てる気がする・・??

「うわぁ!アスラちゃん!!ちょっと待って?!ユイくん、若い頃の俺そのものだよ!!!」

「あら、本当だわ。中学から高校時代のレンにそっくり!!」

この綺麗なお姉さんは誰??色々パニックだよ俺!!

「ちょっと!レンさんもランさんも落ち着いて!!とりあえず紹介するから。
この子は夏海 唯仁くん。
ユイくん、このお兄さんが前に言ってたレンさん。で、この美魔女さんはレンさんのお姉さんでランさん。このお店のオーナーさんだよ。」

「は、初めまして。夏海 唯仁です。ユイと呼んでください。」

「いやぁ、すごい親近感。もう何て言うか弟通り越して息子でもいいや。アスラちゃんは弟だけどユイくんは息子でいいかな?!」

「レンさん興奮し過ぎじゃない?ちょっと待って!本当に血が繋がったキョウを紹介しなきゃ。
ユイくん、ユイくんの本当の兄のキョウだよ。」

うわぁ!!!!!
ジュン様がいる?!若い頃のジュン様と同じ顔、俺が真似してる頃のジュン様だ!!!けど無表情。うん、これが兄なんだな。

「話は聞いているよ。正直関わり合うとは思ってなかったけどまぁよろしく。
シグに捕まったんだって?こいつは色々拗らせてて歪んでるけど、悪いヤツじゃないからねぇ。まぁいいんじゃないかと思うよ。」

「あぁ!キョウ様!!光栄の極みでございます!!!私、キョウ様の弟様であるユイを唯一と思っております!
私をユイに巡り合わせてくださってありがとうございます!ありがとうございます!!」

「うわぁ・・親衛隊長、相変わらずだねぇ・・・ユイくんこの人で大丈夫なの?」

と、心配そうにこちらを見るレンさん。

「はい、はい!ユイくんも親衛隊長さんもこっちに座って!レン、休憩に入っていいわよ。」

そう言ってランさんは、冬崎先輩と兄が座る席に案内してくれた。

「はい、メニュー。今日のランチはAがメンチカツ、これはライスとパンが選べて、パンだと自分でハンバーガーにも出来ます。Bはバターチキンカレー揚げ野菜乗せ。後、パスタランチが菜の花とベーコンのオイルパスタで、通常メニューのオムライスやサンドイッチも出来ますよ。ランチにはドリンクが付いてるからそれも選んでね。」

「うわぁ!全部美味そう!えっと俺は、Aのメンチカツのパンでお願いします。ドリンクはオレンジジュースで!」

「では、私はBのバターチキンカレーを。ドリンクはホットの紅茶でお願いします。」

「はい、かしこまりました。」

オーダーをとってくれたランさんが厨房に伝えに行く。

「一気に頼むと厨房が大変だから先に食べてるよ。ごめんね。ここ、食べ物系はシェフ一人とバイト一人でやってるからさ。」

冬崎先輩が言う。

「あ、全然大丈夫です。」

そう言い合っていると、仕事着を脱いだレンさんがこっちに来て冬崎先輩の横に座った。
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