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ユイ 出会い

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「あなたがアスラ様にちょっかいをかける事があれば、私があなたをどうしようと自由にしてよい、とキョウ様から許可をいただいております。」
「アスラ様はキョウ様の唯一。例え弟様といえども気軽に声をかけていい存在ではございません。
あなたがジュン様のファンである事も承知しておりますが、この高校に来たのであれば、まずはキョウ様の素晴らしさを理解するべきです。」

何?何?この人??!!
マジで怖いんですけど?!

「いいですか?キョウ様は、完全なる『美』であり、この世に存在する森羅万象、天地万物すべての象徴と言っても過言ではないお方!!」

「ストップ!!長(おさ)、一年生が怯えてるから止めろ。涙目になってるじゃねぇか。」

冬崎先輩??助けてくれたの?

「ん?ちっさいレンさん?何か似てる・・?」

??俺が誰かに似てる?こんな格好なのに?
俺は金髪の短い髪をツンツンに立たせ、ピアスもいくつか開けている。
ちなみにこれはMAG初期のジュン様の真似だ。校則が緩い学校で良かった。
こんなヤツ今時あんまし居ないと思うんだが。

「アスラ様、お手を煩わせてしまい申し訳ございません。この方は・・」

「冬崎先輩、初めまして。俺、夏海 唯仁って言います。あの・・兄が・・会った事はないんですが、秋月 暁弥という・・・」

「あぁ!!君がキョウの弟かぁ?!話は聞いてるよ。会った事はないけど弟がいるって。俺は冬崎 明日楽よろしくな!」

「ユイ様、お待ちなさい。そのような不躾な発言はどうかと思います。アスラ様がキョウ様に聞いていらしたからよかったものの、知らない可能性だってあったのですよ?いきなりアスラ様に声をかけようとしたりもしましたし、ちょっとあなたには躾が必要みたいですね・・・」

ひぃ?!ダメだやっぱりこの人怖い!

「まあまあ、長、やめなよ。俺が傷付いたり混乱したりする可能性がある事は、キョウが先に手を打ってあるし、隠し事をしないで教えてくれてるの知ってんだろ?
だから長も最初ユイくんを止めたんだよな?逆にキョウについて熱く語りすぎてて俺が気付いたけども。」
「ユイくん?って呼んでいい?俺は別に君と話すのは構わないし、寧ろ話してみたいけど、長とか煩いのがいっぱいいるから気を付けてね。」

「おさ?ってこの人の事ですか?」

「そうそう。この人はキョウの親衛隊の三代目隊長。キョウ様親衛隊って、テンプレ異世界ファンタジーの王家が使う暗部みたいな働きっぷりをするんだよ。そのトップだから長。
あっ、そんな本とか読まない?」

「本はあんまり読まないけど、漫画でそういうのも読んでるからまぁ分かります。」

「良かった!共感してくれる人少ないんだよなぁ。ピッタリの例えなのに。
で、ユイくんは俺にキョウの事を聞きたかったの?」

「いや、兄の事よりジュン様の事を・・・俺、MAGの大ファンなんです!動画でしか見た事ないけど、ジュン様が大好きで・・そしたら姉が親父だ!とか言うからびっくりして・・色々聞き出してこの学校に辿り着いたっていうか・・・この頭とピアスも初期MAGの頃のジュン様の真似なんです!」

「プハッ!キョウに興味ないんだ?!そりゃ長が怒って熱く語るわけだww
しかも、何も知らないのにその歳でMAGのファンになったってのがすごいわ。見た目を真似する程のジュンさん推しかぁ!」
「俺もMAGは動画とCDでしか知らないけど、確かにジュンさんはむちゃくちゃカッコいいよな!残念な事に最近MAGとしての活動はしてないから、俺もライブは見たことないんだよな~ソロのJUNは何度も見てるんだけど。」

「JUNのライブは見てるんですか?いいなぁ!俺も見たいな~もちろんMAGで歌ってるジュン様が一番見たいですけど、活動休止中ですもんね・・・」

「今度デイ パーティーとか早い時間のパーティーがあったら誘うよ。」

「!!いいんですか?!・・けど、俺母さんに顔が似てるから、ジュン様が嫌な思いされたら・・・」

「大丈夫だと思うよ?ジュンさんそんな事気にしないと思うし。あっ、けどレンさん的に嫌かも知れないな?ちょっと聞いてみよう・・・」

「レンさんってさっきも俺が似てるって言ってた人ですか?」

「あぁ!そうか!!ユイくん、お母さんに似てるんだよね?て、ことは、ジュンさんの好みのタイプ・・分かりやすっ!」
「レンさんはね、ジュンさんの専属PAで恋人だよ。今三十歳の男性。」

「!!!ジュン様も男の人と付き合ってるんですか??!」

「そう、俺もキョウと付き合ってるし。気持ち悪い?幻滅した?」

「いえ、俺別に偏見とかないんで。ビッチな姉を見てたら女は信用できないって思うし。」

「そう、なら良かった。ゆっくり話をしたい所だけど、俺キョウと待ち合わせしてるからまた今度ね。」
「長、あんまりいじめたらダメだからな。」

「かしこまりました。キョウ様とのお約束があるのにお時間を取らせまして申し訳ございません。早く行って差し上げてください。」

「ん、ユイくん、じゃあまたな!」

「はい、失礼します。」

ふぅ~めちゃくちゃいい人じゃん、冬崎先輩!!
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