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番外編 マジョリカでネコ会議〜最南の島旅行
エナ1
しおりを挟む歓迎会から一ヶ月ほど経った頃のお話です。全二話。
前王妃のレンはランの弟でリンの叔父。
シグの嫁なユイは、魔王キョウとカグヤの種違いの弟です。
ーーーーーーーー
週のうち二日は、最南の島からワープポイントで魔王城に行き、エドナ診療所に出勤する日々に慣れて来た頃、僕は魔王城で王妃のアスラ様からマジョリカに誘われた。
「エナちゃん、明日もこっちに来ない?マジョリカでレンさん、ユイくん、リンくんとお茶するんだけど一緒にどう?」
「えっ?僕も行っていいんですか?」
「もっちろん!今回ルイくんは忙しくて来れないみたいだし、人数いた方が楽しいじゃん?俺の新作も持って行くしさ~喋りにくかったらそれ読んでてもいいよ?」
「行きたいです。僕、前王妃様とはあまり面識がないんですが・・・」
「大丈夫、レンさんはむちゃくちゃ優しいから。絶対大歓迎してくれるよ?」
そんな感じでマジョリカでのお茶会に参加させていただく事になった。当日ワープポイントから出ると、アスラ様?!待っていてくださっていたみたいであせる。
「さっ、行こう。」
憑依してマジョリカまで飛んで行く。
アスラ様は人族なのに契約精霊がいる稀有な人物だ。あっ、ユイ様も。アスラ様の契約精霊は黒白猫のリイ様。憑依すると黒髪に黒猫耳、尻尾も黒、なのに翼は純白という珍しい姿だ。
純白の翼を持つ者は少ない。カグヤ様、カグラちゃん、アスラ様、リン兄、僕だけじゃないかな?ちなみに漆黒の翼を持つ者は魔王様とショウくんだけだ。
マジョリカに着き、アスラ様が入口の扉を開ける。
「いらっしゃい。アスラちゃん、エナちゃん。」
えっ?前王妃様?!ランさんは??
「前王妃様、きちんとあいさつをさせて頂くのは初めてですよね?エナと申します。どうぞよろしくお願いします。」
「ふふっ、レンでいいよ?エナちゃん、こちらこそよろしく。今日は貸切で姉さんはお休みなんだ。だから俺がマスター。」
それもそうか。王妃様と前王妃様がいらっしゃるんだもんな。他の客を入れるのは色々と問題がありそうだ。
「レンさんは元々マジョリカを手伝ってたから、お茶を淹れるのがすごく上手いんだよ。」
「アスラちゃん、お褒めの言葉ありがとう。」
店内にはユイ様とリン兄がすでに座っていた。二人にもあいさつをする。
ユイ様とも少し前に魔王城で会った時にお話しさせていただいて、仲良くなったんだ。
レン様が注文を聞いてくださり、僕はカフェオレを頼んだ。お茶請けにはランさん特製の焼き菓子がたっぷりと並んでおり、精霊たちも隣のテーブルに集まって喜んで食べている。リン兄のネル(ユキヒョウ)以外はみんな猫だ。
それぞれが注文した飲み物が揃った所でアスラ様が言う。
「はい!では、これからネコ会議を始めます。今日からエナちゃんも仲間だからね。聞きたい事があればどんどん口出ししていいよ。あっ、それからここでは自分の精霊がダンナの精霊と繋がるの禁止ね。ダンナ側にここでの話は伝わらないようにしてるからよろしく。」
僕はドナにノンと繋がらないように言った。
アスラ様が続ける。
「じゃあ、最近困った事があった人はいない?」
ユイ様が手を挙げる。
「この前、ドラゴン王族のジャック様が来られたでしょ?俺、何か絡まれちゃって、後からシグにかなりしつこく責められたんだよね。俺が悪いわけじゃないのに。」
うわぁ!!も、申し訳なさすぎる。あれからジャックくんは本当に魔族の国まで飛んで来たんだ。一度訪れると次からは瞬間移動で来れるから早めに来た、とか言って。
ウチの診療所に来たから慌ててティムに瞬間移動して来てもらって、魔王城にあいさつに連れて行ったんだ。その時、ユイ様を見付けてまた口説いてた模様。
「あぁ、僕も最南の島でそんな感じだったよ。さらっと流したけど、お酒を受け取って飲んでじゃったからコウに無理矢理連れて帰られて・・その後は大変だった・・・」
リン兄・・・やっぱり大変だったんだ。
「す、すみません。僕もジャックくんとは二人にならないようにティムに言われてるんです。みなさまにご迷惑をおかけして申し訳ないです・・・」
「エナちゃんが謝る事じゃないよ。俺たちはそういう事がよくあるんだ。今じゃ、魔族で俺たちを知らない者はいないからあんまりなくなったけど、俺とアスラくんが人族の国からこの国に来た当時はしょっちゅうだったよね?」
と、ユイ様。
「そうそう!俺たちがお仕置きされるのっておかしいよなっ?こっちは悪くないのに理不尽じゃん。気のある素振りとかまったくしてないし。」
アスラ様も同意する。
「本当にみんな揃いも揃って嫉妬深いからね。ジュンさんも未だにそんな感じだよ。今さら他の男になんて色目使うわけないのにさ。だいたい身がもたないよね。自分のダンナ様だけでも体がツライのに。」
レン様まで!前魔王様もそんなに頻繁なの??!
続いてアスラ様が言う。
「ほんとほんと!回復魔法かけりゃいいってもんじゃないってーの!特に嫉妬が入った時のしつこさは・・・ユイくん大変だったんじゃね?」
「う、うん、まぁ・・俺もお仕置き系は嫌いじゃないんだけど・・・今回はちょっとキツかったなぁ・・・」
遠い目をしているユイ様。実はシグ様もかなりのドSのようで、ティムと気が合ってるみたいなんだよね・・何されたんだろ?ちょ、ちょっと気になる・・・
「で、みんなに聞きたいんだけど、そういう時ってどうしたら相手が一番納得して早く終わってくれるんだろう?せめて丸一日で終わらせて欲しいんだよね。
僕にも仕事があるし、二日以上にわたると体もキツい。」
う~ん、難問!!!
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