上 下
9 / 21
メイ Ⅱ

3

しおりを挟む

注意!最後の方にほんの少しだけメイがアズサと絡むシーンがあります。

ーーーーーーーーー

 「あのさ、俺、イツキの事は好きだったけど、今まであいつを恋愛としてとか、性的な目で見た事なかったんだよ。そりゃ、あいつが俺に執着してるのは分かってたけど、他に対等に話せるヤツが他に居ないからだって思ってた。それで満足だった。
なんて言うか、こんな平凡な男をイツキが本気で好きになるはずない、って思っててさ。」

あーちゃんは黙って聞いてくれている。

「けど、この前しつこく求められた時・・・強引だったけど嫌じゃなくて。その・・・男にヤラれるなんて死んでも嫌だと思ってたのに、イツキだと受け入れられたんだ。
だってあのイツキが本当に情けない顔をして俺に縋って来るんだよ?あいつならどんな美男美女でも選び放題なのに、幼なじみだからって俺なんかにさ。そりゃ絆されもするって」

「うんうん、メイメイの気持ちはよ~く分かった。けどね、まずは間違いを正してあげる。
メイメイ、あなたは全然全く平凡な男じゃないからね。メイメイはずっとイツキの側にいてあの顔を見てるから、マヒしちゃってるのよ。
あなたはかなりの美少年です。
それも、男からも女からもモテるタイプの。
あのね、女子からしたらイツキは完璧すぎて彼氏にしたいとか思えないのよ。人間味がないっていうか。あたしみたいにユルさを出すとか隙を作ればちょっとはマシなのに」

確かに女子はみんなイツキの事が好きだけど、告白までする子は少ない。よっぽど自分に自信がないとあの顔の横には立てないからかな?
その点あーちゃんは、イツキと似た顔の完璧美少女なのに、雰囲気がユルいせいかよく告白されている。彼氏もほぼ途切れた事がないんじゃないかな。今はフリーらしいけど。

「けどメイメイはちょうどいいのよ。手が届きそうな美少年。言っとくけど、顔も充分美形だからね。十段階評価でイツキが十ならメイメイは八くらい?
しかも愛想も良いし、話しやすい。普通の子でももしかしたら付き合ってもらえるかも?って思っちゃうのよね~男女ともに。だから、実はイツキよりメイメイの方が断然モテてるのよ。ね、全然平凡じゃないでしょ?」

「えっ、けど俺全然告白とかされた事ない・・・あっ・・・」

「そう、イツキが美見会に排除させてたんでしょ?まぁ、気持ちは分かるけどね。美見会は優秀だし」

あーちゃんも俺たちと同じ高校の出身だ。聞くところによると、自分も公式対象(美しく尊い人は男女問わず推し対象となる)でありながら、男のカプを推す為に美見会に入っていたらしい。しかも影の長と呼ばれていたとかなんとか。

「まずはそれを自覚してね。つまりメイメイはイツキの横に居ても全く見劣りしないって事。むしろ引き立てあってるの。で、イツキはそれを分かってるから、メイメイを取られないよう必死なのよ」

「マジかよ・・・けど酷くね?それなら俺も告白とかされてみたかった。俺だって、女の子と付き合ったり色々してみたかった。その後でなら、もっと素直にイツキを受け入れられたかもしれねぇのに・・・何かさ、全部イツキに決められてるみたいでムカつくんだよ。
俺だって色々経験して、その上でイツキを選びたかったって言うか・・・」

「ん~、まぁイツキのやり方は強引で褒められたもんじゃないけど・・・あいつは一貫してメイメイだけが好きなのよ。他の女も男も目に入らないくらいにね。
けどメイメイは・・・イツキを受け入れはしたし好きだと自覚もしたけど、男が好きなゲイってわけじゃない。だから、女の子とも一発ヤッてみたい願望も捨てきれない、ってだけなんじゃないの?」

「!!!・・・・・・そっ・・・ソウデス・・・」

ごめんなさい。色々理由を付けてはぐらかしてたけど、その通りです。

俺は恥ずかしくなって下を向いた。

だからその時、あーちゃんの顔付きが、この前のイツキと同じく、肉食獣のようになっていた事に全然気付いていなかったんだ。

「・・・ねぇ、メイメイ。あたしが相手になったげようか?」

「へっ?!」

「今、ちょうど彼氏いないしさ。ヤラせてあげてもいいよ?」

えっ?えっ?ちょっと待って??!

あーちゃんが俺の手をつかんでおっぱいに押し付けて・・・ぷに?・・・ぷにょって・・・や、柔らかいんだけどぉっ?!!

「ねぇ、あたしじゃ嫌?」

「めっ、めめめ滅相もない」

グイグイおっぱいを押し付けて来るから、俺もついつい手を動かしてみたら・・・ヤバいマジで柔らかい。何この至福の感触・・・

おっぱいの事しか考えられなくなっている俺に、あーちゃんの顔が近付いて来た。

えっ?!何、なに?キス??いや、それは・・・ダメだ。出来ねぇかも・・・

そう思って顔を逸らした視線の先には、鬼の形相をして走って来るイツキがいた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

信じて送り出した養い子が、魔王の首を手柄に俺へ迫ってくるんだが……

鳥羽ミワ
BL
ミルはとある貴族の家で使用人として働いていた。そこの末息子・レオンは、不吉な赤目や強い黒魔力を持つことで忌み嫌われている。それを見かねたミルは、レオンを離れへ隔離するという名目で、彼の面倒を見ていた。 そんなある日、魔王復活の知らせが届く。レオンは勇者候補として戦地へ向かうこととなった。心配でたまらないミルだが、レオンはあっさり魔王を討ち取った。 これでレオンの将来は安泰だ! と喜んだのも束の間、レオンはミルに求婚する。 「俺はずっと、ミルのことが好きだった」 そんなこと聞いてないが!? だけどうるうるの瞳(※ミル視点)で迫るレオンを、ミルは拒み切れなくて……。 お人よしでほだされやすい鈍感使用人と、彼をずっと恋い慕い続けた令息。長年の執着の粘り勝ちを見届けろ! ※エブリスタ様、カクヨム様、pixiv様にも掲載しています

高塚くんと森くん

うりぼう
BL
顔だけが取り柄の高塚くん。 ごくごく普通の高校生の森くん。 「好きなんだ、オレと付き合って」 「え、嫌だ」 そこから始まる二人のお話。 基本一話完結。 本編完結済み 随時小話更新予定です。 ※BL ※受け大好き ※攻め半分変態 ※R15というほどR15表現はありません 他サイト様にも投稿しています

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談? 本気? 二人の結末は? 美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

君の恋人

risashy
BL
朝賀千尋(あさか ちひろ)は一番の親友である茅野怜(かやの れい)に片思いをしていた。 伝えるつもりもなかった気持ちを思い余って告げてしまった朝賀。 もう終わりだ、友達でさえいられない、と思っていたのに、茅野は「付き合おう」と答えてくれて——。 不器用な二人がすれ違いながら心を通わせていくお話。

乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について

はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。

王子様と魔法は取り扱いが難しい

南方まいこ
BL
とある舞踏会に出席したレジェ、そこで幼馴染に出会い、挨拶を交わしたのが運の尽き、おかしな魔道具が陳列する室内へと潜入し、うっかり触れた魔具の魔法が発動してしまう。 特殊な魔法がかかったレジェは、みるみるうちに体が縮み、十歳前後の身体になってしまい、元に戻る方法を探し始めるが、ちょっとした誤解から、幼馴染の行動がおかしな方向へ、更には過保護な執事も加わり、色々と面倒なことに――。 ※濃縮版

ハッピーエンドのために妹に代わって惚れ薬を飲んだ悪役兄の101回目

カギカッコ「」
BL
ヤられて不幸になる妹のハッピーエンドのため、リバース転生し続けている兄は我が身を犠牲にする。妹が飲むはずだった惚れ薬を代わりに飲んで。

処理中です...