【完結】腹黒王子ちゃんは異世界でも完璧魔王に溺愛される

ルコ

文字の大きさ
上 下
21 / 25
番外編 ジュン×レンの過去と日常

レン 1

しおりを挟む

 俺の名前はレン。先代魔王の王妃だ。白銀の翼と毛並みを持つ猫の精霊、クーと契約している。

先代魔王の名はジュンさん。
何と言うか、魔王様なのに気さく。いくつになっても天真爛漫で自由奔放。なのに存在するだけで壮絶な色気を振りまく厄介な魔族。それでいて魔力も力も魔族最強レベルで、契約精霊はこれまた巨大な力を持つライオンのキル。
しかも城のデザインをしたり、気分がのれば歌って魔族配信をしたりまでするんだ。

モテないはずがない。

魔族、人族、性別を問わず大概の者がジュンさんに惚れる。

若い頃は、寄って来る者の中に好みのタイプがいたら一度は抱いていたらしい。そこから本気になったのは元嫁のカコさんのみ。
けど、カコさんと結婚してからも昔の癖は抜けず、好みのタイプが言い寄って来たら普通に抱いていたようだ。
それでも一度しか抱かないし、愛はなかったので浮気だと思っていなかったらしい。始末が悪いよね。

カコさんは、キョウくんとカグヤちゃんを産んだ後、そんなジュンさんに耐えきれなくなって人族の国に帰ってしまった。

そこで初めて、一度だけでも愛がなくても、浮気は浮気だって気付いたんだって!馬鹿だよね?

カコさんの事は本気で好きだったようなのに、きちんと話し合いもせず自由奔放に生きすぎた自分を猛省したジュンさんは、それ以降、好みのタイプが寄って来ても気軽には抱かなくなった。


 オレが出会ったのはそんな頃のジュンさんだったんだ。
 

 当時オレは、魔族配信の鏡の調節をする仕事をしていた。まだまだ下っ端のオレが、魔王様(当時は現役)の鏡の調節なんて大役を仰せつかったのはいくつかの偶然が重なった結果だ。

そこでオレは鏡の調節の、主に音の伝わり具合を気に入られ、魔王様に指名されるようになった。
オレも密かに魔王様に憧れてはいたが、それは単なる憧れであって恋愛対象ではなかった。畏れ多かったし、男と付き合うなんて考えられなかったんだ。当時は彼女もいたしね。

けど、やたらと魔王様がオレにちょっかいをかけてくる。
からかわれる度にムキになって言い返していたのが悪かったのかもしれない。だって魔王様のくせに気さくすぎるし。オレもついつい相手をしてしまっていた。

そんなある日、いつものように魔王様のもとで鏡の調節をしていると、何やらクーとキルの様子がおかしい。クーがふにゃふにゃになってキルの上に乗っている。

それを見た魔王様が焦ったように言う。

「うっわっ!おいこらキルっ!お前何してくれてんだよっ?」

「ふん、おれはジュンみたいに一度失敗したくらいで臆病になる腑抜けとは違うからな。欲しいものは自分で手に入れる。いくら契約しているからと言って精霊の恋愛に口出しするな。」

れ、恋愛??!!

「あー、レン、すまない。キルがクーに手を出した。これはすでに繋がってるな。」 

「い、いつの間に・・?」

「精霊ってのは契約者の感情に引きずられやすいからなぁ。おれがレンを気に入ってるのが影響したか?」

「影響を受けるのは確かだが、それでも嫌な相手もいるし、それ以上に好きになる相手もいる。おれはジュンがレンを思う以上にクーの事が好きだっただけだ。」

へっ?魔王様がオレを思う?!からかってるだけじゃなくて?

「くっ!精霊に先を越されるとか・・カッコ悪ぃなおれ。あ゛~レン、すまない。ちょっと顔貸せ。」

そう言った魔王様に手を握られ、瞬間移動をさせられた。

「えっ?!ここって・・・?」

「あぁ、おれの寝室。」

ええぇぇぇぇ??!!!

「なぁ、レン。率直に言うぞ。おれはお前を気に入っている。多分好きなんだろう。
おれはな、実は魔族も人族も口説いた事がないんだ。いつも向こうから寄って来て、相手を口説く必要なんてなかったからな。だが、お前は何も言ってこねぇし、正直口説き方が分からずに戸惑っていたんだ。そしたらキルに先を越される始末だカッコ悪ぃ。」

「えっ?えっ?ちょっと待ってくださいよ!魔王様がオレを??!」

「あぁ、レンには彼女がいたな?その女を愛しているのか?」

「い、いえ、この前別れましたけど・・オレ、例え魔王様でも男と付き合うとか考えられなくて・・・」

「ほう?別れたのか。なら話は早い。」  

・・そう言った魔王様にいきなりキスをされた・・・
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

今世はメシウマ召喚獣

片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。 最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。 ※女の子もゴリゴリ出てきます。 ※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。 ※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。 ※なるべくさくさく更新したい。

悪役令息の七日間

リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。 気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。

N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間 ファンタジーしてます。 攻めが出てくるのは中盤から。 結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。 表紙絵 ⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101) 挿絵『0 琥』 ⇨からさね 様 X (@karasane03) 挿絵『34 森』 ⇨くすなし 様 X(@cuth_masi) ◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! 本編完結しました! リクエストの更新が終わったら、舞踏会編をはじめる予定ですー!

某国の皇子、冒険者となる

くー
BL
俺が転生したのは、とある帝国という国の皇子だった。 転生してから10年、19歳になった俺は、兄の反対を無視して従者とともに城を抜け出すことにした。 俺の本当の望み、冒険者になる夢を叶えるために…… 異世界転生主人公がみんなから愛され、冒険を繰り広げ、成長していく物語です。 主人公は魔法使いとして、仲間と力をあわせて魔物や敵と戦います。 ※ BL要素は控えめです。 2020年1月30日(木)完結しました。

完結·助けた犬は騎士団長でした

BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。 ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。 しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。 強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ…… ※完結まで毎日投稿します

処理中です...