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入学式

姫2

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 ここでちょっと中学時代の友だちの話をする。
 
 中学で友だちになった月影 瑠依(つきかげ るい)は俺と似たようなタイプだ。
何と言うか、俺よりも数倍顔が整った、小柄で華奢な超絶美少年。
びっくりするくらいたくさんの本を読んでいて、俺とも図書室で友だちになった。

そんなルイには、かなり拗らせた関係の幼なじみがいたんだ。

 風間 翔弥(かざま しょうや)と、風間 神楽(かざま かぐら)。この二人はこれまた超絶美形な男女の双子で、ルイとは生まれた時から家族ぐるみの付き合いがあるらしい。

で、中学時代のショウはルイを避けていた。なんて言うかな、誰がどう見てもショウはルイの事が好きなのに、どう接したらいいか分からない様子。

ルイに聞いてみると、小さい頃はお互いに大好き同士ですごく仲が良かったんだけど、だんだんショウに意地悪をされるようになったんだって。
それはそこまで酷いものではなく、多分好きな子をいじめるってヤツだったみたいだけど、やっぱり悲しくてルイはよく泣いていたらしい。そんなルイを慰めつつ、ショウを返り討ちにしていたのがカグラ。

カグラは、控えめに言ってもカリスマ性がある向かう所敵なし!って感じの女子なんだ。そんなカグラが目を光らせているルイを他の子がいじめるわけもなく、ショウ以外には絡まれる事もなく過ごして来たらしい。

ショウは流石に小学校の高学年くらいからは意地悪をしなくなったけど、今さらどうしたらいいのか分からない、って感じで未だにルイとは喋る事が出来ず・・けど、目はずっとルイを追っている状態。

中学時代のカグラは、ショウを叱咤しつつ、他の男子や女子から鉄壁のガードでルイを守っていた。ちなみにカグラはルイを実の弟のように思っているみたいで、恋愛感情は皆無らしい。
ルイの横にいた俺もその恩恵にあずかって、中学時代は女子に絡まれる事なく平穏に過ごせたんだから、カグラには本当に感謝している。

ルイの気持ちはどうかって?
何とルイは、そんな状況なのにショウの事が好きみたいなんだ。

なんでも、生まれてすぐに会った瞬間からお互いに好きになった気がする・・だって?!

・・・覚えてるわけなくね?

まぁ、それくらい運命的な相手なんだったら男同士とか関係ないか。
俺は元々同性愛に嫌悪感なんかはないから、素直にそう思ったんだ。

ショウが早く素直になって二人が結ばれたらいいのに。

今すぐには無理そうだけど。


 で、そんなルイ、ショウ、カグラも同じ高校に進学した。同じクラスにはなれなかったけど、ルイは隣のクラスで選択科目や体育は一緒だから嬉しい。

ショウとカグラとはクラスが離れているが、目立つ二人だから早速話題になっているようだ。もちろんルイも、ウチのクラスで「隣のクラスの美少年見た?」等、噂されていた。

「バスケ部の二人もいいよね!同じクラスで嬉しい♡」って声も聞こえてくる。

そして俺の方に視線がチラチラ・・・

うっ!や、やめて?!小学校の二の舞にはなりたくねぇっ!!

だが、小学生の頃俺に友好的だった女子が一人同じクラスにいて、その子が俺に視線を送っていた女子グループに近付き何か囁くと、急にギラギラした視線に変わったんだ。


俺は知らなかった。


この学校は昔から同性愛に対して寛容な校風で、それを目当てに受験する同性愛者や腐女子なみなさまが多いという事を。

そして、ショウ×ルイに次ぐ二番手の推しカプとして、リューセーと俺が生暖かく見守られる事になっていたなんて・・・


全く気付いていなかったんだ。



ーーーーーーーーー

 お読みいただき本当にありがとうございます。

ちょっとだけ裏事情を書かせてください。そういうのウザい、と思われる方はスルーをお願いします。

 ショウ×ルイのお話は自作「次代の魔王は生まれた翌日運命の恋に落ちる」にて書いております。このお話、異世界編を途中で断念してしまい、無理矢理終わらせてしまった悔いの残る作品なんです。

前世(現代日本)編と番外編で、何とか二人が結ばれる物語として書き終えましたが、まだまだ書き切れていない気がして、ついつい他の作品にショウ×ルイとカグラを登場させてしまう…といった作者本位な裏事情があります。

 それでは、完結までよろしくお願いいたします。

ルコ
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