【完結】姫が可愛くないはずがないっ！！！

入学式

姫1

　俺とリューセーは確かに小学生の頃仲が良かった。お互いに所属するグループは違うのに、何となく気が合ってよく遊んでいたんだ。休みの日にはよくウチで一緒にゲームをしたな。

リューセーは足が速くてスポーツ万能、顔も爽やかイケメンで背も高い。当然女子にめちゃくちゃモテていた。クラスの女子のほとんどは、リューセーの事が好きだったんじゃないかな？
でユウヤをはじめ、周りの友だちも同じようなタイプ。まぁ、リューセーが一番モテてたけど。

俺はと言うと別に陰キャなわけではないが、ゲームと漫画、読書が好きなインドア派。

そして俺は女子に敵視されていた。
「姫の横にいると何か悔しいから嫌。」これは密かに好きだった女子に言われた言葉。理不尽すぎて泣いたよ。

自分では全く分かっていなかったが、小学生の頃の俺は女子より可愛かったらしい。更に何故かリューセーが俺に懐いていて、よく引っ付いてくるもんだから、明らかに嫉妬されていたんだ。

リューセーと遊ぶのは楽しかったし、ゲームや勉強を教えてくれとまとわりつく姿は大型犬のようで、何というか本当にデカい犬をかわいがるような気分で接していたと思う。

まぁ、リューセーも俺の事を小動物みたいに思っていたんだろう。背が低い俺の頭をよく撫でていたからな。

だが、それを見た女子の嫉妬がキツかった。

俺も言われっぱなしで黙っているようなタマじゃないから、理詰めで言い返したりしてたんだが・・あいつら群れで来るからな。十人くらいの女子に囲まれて責められてみろ。心が折れるぞ？

まぁ、俺も女子全員に嫌われていたわけではなかったし、逆に妙に俺を守ろうとしてくれる女子(その子たちは何故か俺とリューセーが二人でいると喜んだ)も半数くらいいたから、そこまで悲惨な目には遭ってないんだけど。

あぁ、謝恩会での女装も、俺に好意的な女子の集団に好き勝手にされた結果だ。メイクをされ、ウィッグを被せられ、ミニスカートにハイソックス姿になった俺を見て、嫉妬女子たちが顔を引き攣らせてたなぁ・・・その頃には流石に自分の容姿を自覚していたので、まぁ、ちょっとだけ気分が良かった。

　
　小学校を卒業すると、リューセーはユウヤと共にバスケが強い中学に入学したので会う事もなくなった。
家は近所だけど、部活で忙しいリューセーが休みの日にわざわざウチに来るはずもなく、俺にも普通に仲のいい友だちが出来たし、次第にリューセーを気にかける事もなくなっていた。

そして、女子に敵意を向けられる事のない平和な中学生活！！

いや～快適だったね！

正直、それは友だちの恩恵なんだけども。


　だから、高校生活も快適に平和に過ごしたいんだよ。もう女子に敵視されるのはごめんだ。

リューセーの事は嫌いじゃないけど、仲良くなんかしたら絶対にまた女子に嫉妬される。どうせ高校でもリューセーはモテまくるだろうし。

あいつやたらと距離が近いからな。まっ、そこも大型犬みたいで可愛いんだけどw

ん？けど、ユウヤとはそこまでベタベタしてないよな？デカいからか？リューセーは小動物好きなのか？なら俺ももうそこそこデカくなったし、小学生の頃のような扱いはされないかもしれない。

適度な距離を保った普通の友人としてなら、女子的にも大丈夫かな？

そうだよ。俺、もう小学生の頃みたいに可愛くないもん。ユウヤもそう言ってたし。166センチある立派な男だ。まだ後10センチくらい伸びる予定だしな！
リューセーだって、部活で発散したら目も覚めるだろう。
　
うん、なんかちょっと気が楽になった。

普通の男友だちと変わらないなら嫉妬される事もないよなっ！って、前も普通の男友だちだったんだけども・・・