【完結】異世界でも姫が可愛くないはずがないっ!!!〜俺が悪役令息でピンクがヒロイン?!ありえねぇ!!〜

ルコ

文字の大きさ
上 下
2 / 25
前世の記憶〜魔族学校

トワ1

しおりを挟む

 俺は今、めちゃくちゃ混乱している。
だって、十七歳のある日いきなり前世(現代日本)の記憶が戻ったんだ。

俺の名前はトワ。人族だが、契約精霊の翼が生えたオオヤマネコ、リンクがいる。そして前世では市姫叶和(いちひめ とわ)という名の高校生だった。

 この世界は、前世でラノベ作家のASURA先生(本名は冬崎明日楽)が高校生時代に書いた非公開作品、身近な人たちが揃って異世界にいたら?というコンセプトの異世界小説の世界だ。

その小説の続きをASURA先生の了承のもと、俺の親友の月影瑠依が書いていた。それを見せてもらい、自分もその世界にいたら?と妄想し、俺バージョンの異世界小説を書き始めたんだ。もちろんルイにも了承済みで、ルイの知り合いであるASURA先生にも非公開を条件に許可をもらっている。

その小説の世界では、前世で俺の恋人だった貴志龍星(きし りゅうせい)はドラゴン族で、契約精霊の倶利伽羅龍王(くりからりゅうおう)のヤヤがいるという設定。倶利伽羅龍王とは、不動明王の化身と言われる龍で、剣に巻き付いた青い龍の姿をしている。

ルイがすでにドラゴン王族の事を書いていて、バハムートやリヴァイアサン、青龍、赤龍他、有名どころは出てしまっていたので倶利伽羅龍王にしたんだ。
ファンタジーでは馴染みがないかもしれないが、本気の真言密教に出て来る神なんだぜ!

それに倶利伽羅龍王って名前からしてカッコ良くない?
えっ?中二病かって?悪かったなっ!!


 俺はこの世界に生まれ、十七歳の今まで生活をして来た。ちゃんと幼い頃の記憶もあるから、転移とかではない。前世って思ってるけど、その前世で死んだ覚えもないんだよな。
ただ、小説を書いていた当時、十七歳までの現代日本の記憶がついさっき戻ったんだ。

う~ん、これはどういう現象なんだろう?

 
 ちょっと頭を整理するために、この世界での俺たちの立ち位置を確認しよう。
前世の小説での設定と、今のこの世界の現実を照らし合わせてみる。

まずルイは、恋人のショウ(前世でも付き合っていた)と、その双子の妹カグラとともに次代の魔王候補だ。
契約精霊もショウが虎のマル、カグラがホワイトライオンのミミ、ルイがジャガーのベル、と、最強揃い。

だが、カグラはすでに魔王候補を辞退しており、ルイは王妃としてショウを支える気満々なので、実際にはショウが次の魔王になる事はほぼ決定しているんだ。

この事は魔族の国でも周知の事実。これは小説でも現実世界でも変わらない。


 そして俺は人族だが、魔族の国へと留学中。

人族の国には身分制度がない。王様だって有能な者の中から選ばれる。もちろん、宰相や他の大臣などの要職も能力次第で誰でもなれる。まぁ、いくつもの試験がありかなり難関ではあるが。

俺が生まれる少し前に、人族の国と魔族の国との国交が始まった。そしてつい最近、魔族とドラゴン族も和解し、今では三カ国で国交がある。その中で一番発展している魔族の国では、人族、ドラゴン族の留学生を受け入れているんだ。

次代の国王や国の要人候補には、魔族の国への留学が奨励されている。

だから要人候補の俺は今、魔族の国に留学中ってわけ。

人族なのに契約精霊を持つ者は珍しい。それだけで要人候補になるくらいにね。
故にもう一人、人族から契約精霊持ちの子も一緒に留学中なんだが・・・それが、何とあのピンクさんなんだよっ?!ここでの名前はミスズ ピンク。もちろん契約精霊はピンク色の猫。モモと言う名前だ。

 ピンクさんの前世での名は桃山深鈴。俺の恋人であるリューセーが所属する、バスケ部のマネージャーをしていた女の子だった。
そのピンクさんは、前世でいきなり俺の前に現れて「貴志くんとミスズは真実の愛で結ばれているのに市姫くんが邪魔してる!貴志くんを解放してあげて!」みたいな事を言ってのけたんだよね・・・

もちろん事実無根。

どこのヒロインだよ?!ってツッコミそうになったよ。現代日本なのに。横に居たルイも「うわぁ、トワくん悪役令息ポジじゃん。」って呟いてたし。

お察しの通り、ピンクさんは自分に都合の良い事しか耳に入らない、全く話が通じないタイプ。

まぁ、リューセーは一ミリもピンクさんには靡かなかったし、それがきっかけで俺もリューセーと付き合う決心がついたから結果オーライなんだけど。

その後、ピンクさんはカグラに洗脳・・ゲフンゲフン、いや、教育されてすっかりカグラ信者になり、リューセーには見向きもしなくなったんだが、あまりにもインパクトが強すぎて俺が書く小説にも登場させてしまったんだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

失恋して崖から落ちたら、山の主の熊さんの嫁になった

無月陸兎
BL
ホタル祭で夜にホタルを見ながら友達に告白しようと企んでいた俺は、浮かれてムードの欠片もない山道で告白してフラれた。更には足を踏み外して崖から落ちてしまった。 そこで出会った山の主の熊さんと会い俺は熊さんの嫁になった──。 チョロくてちょっぴりおつむが弱い主人公が、ひたすら自分の旦那になった熊さん好き好きしてます。

異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~

兎森りんこ
BL
主人公のアユムは料理や家事が好きな、地味な平凡男子だ。 そんな彼が突然、半年前に異世界に転移した。 そこで出逢った美青年エイシオに助けられ、同居生活をしている。 あまりにモテすぎ、トラブルばかりで、人間不信になっていたエイシオ。 自分に自信が全く無くて、自己肯定感の低いアユム。 エイシオは優しいアユムの料理や家事に癒やされ、アユムもエイシオの包容力で癒やされる。 お互いがかけがえのない存在になっていくが……ある日、エイシオが怪我をして!? 無自覚両片思いのほっこりBL。 前半~当て馬女の出現 後半~もふもふ神を連れたおもしろ珍道中とエイシオの実家話 予想できないクスッと笑える、ほっこりBLです。 サンドイッチ、じゃがいも、トマト、コーヒーなんでもでてきますので許せる方のみお読みください。 アユム視点、エイシオ視点と、交互に視点が変わります。 完結保証! このお話は、小説家になろう様、エブリスタ様でも掲載中です。 ※表紙絵はミドリ/緑虫様(@cklEIJx82utuuqd)からのいただきものです。

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

【完結】ままならない男-追ってきた男2-

長朔みかげ
BL
「俺に抱かれる覚悟、無かったことになってないよね?」 映画の共演を機に出会った、駆け出し俳優の仁木義嗣と超人気若手俳優の八朔レオ。 前世の記憶を持つ八朔に「あんたは俺が前世で愛した人の生まれ変わりだ」と迫られて、 いつの間にか絆されてしまった仁木は、紆余曲折ありながらも八朔と付き合い始めた。 念願の初Hに向けて盛り上がる二人だが、何かと邪魔が入って悶々とする日々。 さらに周囲では薬物事件が浮上し、またもや騒動に巻き込まれてしまい…!? 年齢差や自制心に悩みながらも距離を縮めていく二人を描いた、芸能界お仕事(+前世)BL第二弾‼ ※こちらは『追ってきた男』の続編です。前作を読んでいない方はそちらを先にどうぞ。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/290392773/811817645 ※ムーンライトノベルズでも投稿しています

ただの新米騎士なのに、竜王陛下から妃として所望されています

柳葉うら
恋愛
北の砦で新米騎士をしているウェンディの相棒は美しい雄の黒竜のオブシディアン。 領主のアデルバートから譲り受けたその竜はウェンディを主人として認めておらず、背中に乗せてくれない。 しかしある日、砦に現れた刺客からオブシディアンを守ったウェンディは、武器に使われていた毒で生死を彷徨う。 幸にも目覚めたウェンディの前に現れたのは――竜王を名乗る美丈夫だった。 「命をかけ、勇気を振り絞って助けてくれたあなたを妃として迎える」 「お、畏れ多いので結構です!」 「それではあなたの忠実なしもべとして仕えよう」 「もっと重い提案がきた?!」 果たしてウェンディは竜王の求婚を断れるだろうか(※断れません。溺愛されて押されます)。 さくっとお読みいただけますと嬉しいです。

とある美醜逆転世界の王子様

狼蝶
BL
とある美醜逆転世界には一風変わった王子がいた。容姿が悪くとも誰でも可愛がる様子にB専だという認識を持たれていた彼だが、実際のところは――??

捨て猫はエリート騎士に溺愛される

135
BL
絶賛反抗期中のヤンキーが異世界でエリート騎士に甘やかされて、飼い猫になる話。 目つきの悪い野良猫が飼い猫になって目きゅるんきゅるんの愛される存在になる感じで読んでください。 お話をうまく書けるようになったら続きを書いてみたいなって。 京也は総受け。

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

処理中です...