【完結】異世界でも姫が可愛くないはずがないっ!!!〜俺が悪役令息でピンクがヒロイン?!ありえねぇ!!〜

ルコ

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前世の記憶〜魔族学校

トワ1

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 俺は今、めちゃくちゃ混乱している。
だって、十七歳のある日いきなり前世(現代日本)の記憶が戻ったんだ。

俺の名前はトワ。人族だが、契約精霊の翼が生えたオオヤマネコ、リンクがいる。そして前世では市姫叶和(いちひめ とわ)という名の高校生だった。

 この世界は、前世でラノベ作家のASURA先生(本名は冬崎明日楽)が高校生時代に書いた非公開作品、身近な人たちが揃って異世界にいたら?というコンセプトの異世界小説の世界だ。

その小説の続きをASURA先生の了承のもと、俺の親友の月影瑠依が書いていた。それを見せてもらい、自分もその世界にいたら?と妄想し、俺バージョンの異世界小説を書き始めたんだ。もちろんルイにも了承済みで、ルイの知り合いであるASURA先生にも非公開を条件に許可をもらっている。

その小説の世界では、前世で俺の恋人だった貴志龍星(きし りゅうせい)はドラゴン族で、契約精霊の倶利伽羅龍王(くりからりゅうおう)のヤヤがいるという設定。倶利伽羅龍王とは、不動明王の化身と言われる龍で、剣に巻き付いた青い龍の姿をしている。

ルイがすでにドラゴン王族の事を書いていて、バハムートやリヴァイアサン、青龍、赤龍他、有名どころは出てしまっていたので倶利伽羅龍王にしたんだ。
ファンタジーでは馴染みがないかもしれないが、本気の真言密教に出て来る神なんだぜ!

それに倶利伽羅龍王って名前からしてカッコ良くない?
えっ?中二病かって?悪かったなっ!!


 俺はこの世界に生まれ、十七歳の今まで生活をして来た。ちゃんと幼い頃の記憶もあるから、転移とかではない。前世って思ってるけど、その前世で死んだ覚えもないんだよな。
ただ、小説を書いていた当時、十七歳までの現代日本の記憶がついさっき戻ったんだ。

う~ん、これはどういう現象なんだろう?

 
 ちょっと頭を整理するために、この世界での俺たちの立ち位置を確認しよう。
前世の小説での設定と、今のこの世界の現実を照らし合わせてみる。

まずルイは、恋人のショウ(前世でも付き合っていた)と、その双子の妹カグラとともに次代の魔王候補だ。
契約精霊もショウが虎のマル、カグラがホワイトライオンのミミ、ルイがジャガーのベル、と、最強揃い。

だが、カグラはすでに魔王候補を辞退しており、ルイは王妃としてショウを支える気満々なので、実際にはショウが次の魔王になる事はほぼ決定しているんだ。

この事は魔族の国でも周知の事実。これは小説でも現実世界でも変わらない。


 そして俺は人族だが、魔族の国へと留学中。

人族の国には身分制度がない。王様だって有能な者の中から選ばれる。もちろん、宰相や他の大臣などの要職も能力次第で誰でもなれる。まぁ、いくつもの試験がありかなり難関ではあるが。

俺が生まれる少し前に、人族の国と魔族の国との国交が始まった。そしてつい最近、魔族とドラゴン族も和解し、今では三カ国で国交がある。その中で一番発展している魔族の国では、人族、ドラゴン族の留学生を受け入れているんだ。

次代の国王や国の要人候補には、魔族の国への留学が奨励されている。

だから要人候補の俺は今、魔族の国に留学中ってわけ。

人族なのに契約精霊を持つ者は珍しい。それだけで要人候補になるくらいにね。
故にもう一人、人族から契約精霊持ちの子も一緒に留学中なんだが・・・それが、何とあのピンクさんなんだよっ?!ここでの名前はミスズ ピンク。もちろん契約精霊はピンク色の猫。モモと言う名前だ。

 ピンクさんの前世での名は桃山深鈴。俺の恋人であるリューセーが所属する、バスケ部のマネージャーをしていた女の子だった。
そのピンクさんは、前世でいきなり俺の前に現れて「貴志くんとミスズは真実の愛で結ばれているのに市姫くんが邪魔してる!貴志くんを解放してあげて!」みたいな事を言ってのけたんだよね・・・

もちろん事実無根。

どこのヒロインだよ?!ってツッコミそうになったよ。現代日本なのに。横に居たルイも「うわぁ、トワくん悪役令息ポジじゃん。」って呟いてたし。

お察しの通り、ピンクさんは自分に都合の良い事しか耳に入らない、全く話が通じないタイプ。

まぁ、リューセーは一ミリもピンクさんには靡かなかったし、それがきっかけで俺もリューセーと付き合う決心がついたから結果オーライなんだけど。

その後、ピンクさんはカグラに洗脳・・ゲフンゲフン、いや、教育されてすっかりカグラ信者になり、リューセーには見向きもしなくなったんだが、あまりにもインパクトが強すぎて俺が書く小説にも登場させてしまったんだ。
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