十三歳の聡

茶熊

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1章 退屈から多忙へ

変えられない未来?

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康太達が滑っていった後、俺達もウォータースライダーを滑っていった。
想像していたよりも早いスピードだったが俺はスリリングな方が好きだ。


ふっと目をやると康太と上村さんが2人で笑い合っている。
どうやら効果があったみたいだな。

聡「康太」

康太「なんだ?」

聡「どうだった?」

何かあったんだろ?と俺は笑みを浮かべながら問いただす。

康太「特になんともなかったよ…」

すこし残念そうな顔をしてそう呟いた。


康太「それよりお前こそ…笑」

ふふっと笑いながら康太に言われてようやく気が付いた。
千里がずっと俺の腕をがっしりと掴んでいる。
自分から滑りたいと言い出したのに、そういえば昔もそんなことがあったような…。

千里「し、仕方ないじゃん!
思ってた数倍怖かったんだもん!」

俺の腕を掴む力が強くなる。

康太「千里ちゃん怖いの苦手だったの?」

上村「怖いの苦手なら、あそこの幼児専用のスライダーに乗ればよかったのに…ふふっ笑」

千里「フォ…フォローして…聡」

聡「お前重いから上村さん達よりもスピードが出て怖かった…ぐはっ!」

頬をグーで殴られる。
完全に殺意がこもった拳だったぞ…。

千里「それ全然フォローになってないから」

上村「とりあえずいい時間だしお昼でも、あそこの出店で食べていかない?」

上村さんが指さす方向にはカレーの出店が。
その瞬間、俺の脳裏の微かな記憶が蘇る。
そういえば、昔もこうやってカレーの出店に向かった時にヤンキーにぶつかった千里が因縁をつけられた挙句、庇った俺と康太は暴行を受けたのだった。

聡「いや…まだお腹空かないかな…
あっちのフランクフルトとかにしない?」

必死にカレー店から遠ざけようとする。

上村「別にいいけど、みんなは?」

千里「私も大丈夫」

康太「俺も何でもいいぞ」

よし上手くできた。
腹も空いたし早く行こう。

「おい、どこ見てんだ!あ?」

千里「すいません…!」

振り返ると俺たちと同い年か少し上くらいの男子が千里に怒鳴り散らしていた。

……は?  
まさか千里がヤンキーにぶつかった…?
未来を変えたはずなのになぜだ!?




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