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第3章七英雄集結編

第19話

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エゼルバルド城従業員専用転送ゲート
ヨシヒコ「パスワードは上上下下左右左右BA・・・」
城内の隠し部屋の扉を開けるヨシヒコ
ヨシヒコ「パスワードが変更されてなくてよかった・・・」
扉の中に入って階段を下りると、転送ゲートが起動している。
シルビア「世界にはこんな魔法があるのね・・・」
ヨシヒコ「・・・湯浅さんうまくやってくれたようだ・・・」
扉の向こうには薄暗い路地が続いている。
ヨシヒコ「ここに飛び込む勇気はある?」
シルビア「だいじょうぶです。
ヨシヒコさんがファイターに殴られても手当してあげる・・・」
ヨシヒコ「はは・・・君はうちの一番上の娘に似てるな・・・」
シルビア「あら。ではきっといい娘さんね。」
ヨシヒコ「ヴィンツァー卿とはどんな関係なのかね。」
シルビア「お母さんがあの人と同じパーティだったのよ・・・
わたしもお母さんみたいに世界を救いたかったんだけど・・・
ヴィンツァーに危険だぞっていつも反対されてね・・・」
ヨシヒコ「それは君のことを大切に思っているからだよ・・・」
シルビア「今ならわかります・・・でも、あの人に死ぬまで守ってもらうわけにはいかないでしょう?」
ヨシヒコ「・・・そうだね・・・」
シルビア「あたしだってもう27だし・・・」
ヨシヒコ「え!?16歳くらいだと思ってた・・・!!」
シルビア「心配しないで・・・足でまといにはなりません。」
ヨシヒコ「OK・・・では、行こうか。九龍へ。」



エゼルバルド城下町
領民はいつもと変わらぬ様子で市場でショッピングをしている。
ヴィンツァー「よかった・・・まだ軍隊が引き上げたことには気づいてないようだ・・・」
ゼリーマン「のんきなやつらだ・・・ええと・・・旦那が書いてくれた地図によると・・・
転送ゲートはあの目立たない民家の中だ。」
小さな民家の中に入ると、中には地下に続く階段だけがあり、地下に降りると広大な転送スペースが広がっている。
ヴィンツァー「きみとヨシヒコさんは長いのか?」
ゼリーマン「もう何年前だろうな・・・旦那から名刺をもらったのは・・・
俺みたいな雑魚キャラにあそこまで丁寧な対応をしてくれた人は初めてでね・・・
この世界のことをいろいろ教えてやったんだ・・・
近く戦争が起きそうだし、疫病も流行ってたし、テーマパークで客を来場させられるような世界じゃないっすよココって・・・」
ヴィンツァー「それで・・・?」
ゼリーマン「オレの意見を採用すると言って、すべてのゲートを引き上げた・・・
しかし、コマキ本社は旦那をクビにして、このマジックキングダムを安全な遊園地にするために強大な軍隊を送り込んできやがった・・・それが引き金となって、この戦争が始まった・・・」
ヴィンツァー「コマキのせいじゃないよ・・・遅かれ早かれ戦争は始まったはず・・・」
ゲートにエネルギーが充電され、ゲートの向こうにラスベガスのような砂漠が広がる。
ゼリーマン「ただ、俺たちモンスターは、コマキの環境破壊で住処を奪われてるんでね・・・
あいつらの汚ねえ金をここで全て奪い取ってやる・・・」
ヴィンツァー「ギャンブルなんてやったことないよ・・・不安だな。」
ゼリーマン「邪神をたった7人で退治するという大博打をやったんだろ?」
ヴィンツァー「だから怖いんだよ・・・」
ゲートに入っていく2人。



格闘ゲームエリア「九龍」
国民の100%が拳法の使い手というとんでもないリージョンである・・・!
「ブレードランナー」のような薄暗く汚い路地を歩くヨシヒコとシルビア。
ヨシヒコ「この世界は1年でノックアウトした人数が多いほど税金が安くなるんだ・・・
なので、他人と目を合わせてはいけない・・・ストリートファイトが始まってしまうからね・・・
とはいえ、やたら目をそらせたり下を向くのもいけない。
弱い人間だとされるとそれも狙われてしまう・・・」
話を聞きながら、弱弱そうな禿げた老人に挨拶をするシルビア。
「あら、おじいさん、ごきげんよう・・・」
ジジイ「くくく・・・小娘よ・・・それはわしへの挑戦か?」
シルビア「へ??」
ジジイ「ストファイ開始じゃあああああ!!!」
ジジイが上着を脱いで、呼吸を整えると筋肉ムキムキになる。
シルビア「きゃああああなんなのよ、このむき卵・・・!」
ヨシヒコ「だから目を合わせるなって・・・!」
シルビア「この世界、女子どもや老人はどう生きているのよ・・・!」
ヨシヒコ「チーム戦にして強いものが守る!
待った!私が戦おう、2対2だ!」
ジジイ「ほう・・・バアさんや!獲物じゃあ!」
屋台ですすっていたヌードルを道に投げ捨て、バク宙してやってくるババア
「けけけ・・・!年金の足しにさせてもらうよ・・・!!」
ババアはヌンチャクを振り回す。
シルビア「格闘技で凶器を使っていいの?」
ヨシヒコ「構わない・・・
だいじょうぶ・・・僕はこう見えてもフルコンタクト空手の有段者だ・・・
お年寄りには負けない・・・」
老夫婦二人がかりでボコボコにシバかれるヨシヒコ「いてててててて!!!」
ババア「きいい!なめるんじゃないよ!!!」
シルビア「・・・ねえ、飛び道具は・・・?」
ヨシヒコ「いててて・・・!それも構わない!波動拳が昨年解禁された!!」
ババア「次はあんただよ!覚悟おし!!」
すると、シルビアは手を振り上げて老夫婦に火炎弾を飛ばす。
ジジイ「ぐわああああ!まだ火葬は嫌じゃあ!!」
ババア「じいさん!死ぬ時は一緒だよ!!」
シルビア「あたしたちの勝ち?」
ジジイ「まいったまいった!!」
すると、今度は風を巻き起こし火炎を吹き消してしまう。
息を切らすババア「なんだい、驚いたね・・・
これならアルティメットタワーもあんたたち攻略できるんじゃないのかい?」
ヨシヒコ「アルティメットタワー?」
ジジイがジャンク街の方を指差すとスカイツリーのような巨大なタワーが見える。
ジジイ「世界チャンピオンが築いた塔での・・・天下一武道大会を何度開催しても、ろくな挑戦者が現れんから、自身の門下生100人をあのタワーに入れて、頂上まで登ってきた者としか戦わないことに決めたそうじゃ・・・」
ヨシヒコ「頂上まで行けたファイターは現れたんですか?」
ババア「オープンして半年だけど・・・誰もいないよ。
チャンプは馬鹿だよ!門下生を鍛え上げすぎたんだ。」
ジジイ「仮に登ってこれても、その時点でどんなファイターも満身創痍じゃし・・・」
シルビア「チャンプが登ればいいんじゃ・・・」
ヨシヒコ「では、あそこにいけばあいつがいるわけか・・・」
シルビア「あいつ?」
ヨシヒコ「九龍の世界チャンピオン・・・スパルタン草薙だよ。」



アルティメットタワー100階
チャンピオンの玉座の前で2人の格闘家が戦っている。
それを肘をついて眺めるチャンピオン「スパルタン草薙」
一人の格闘家が相手を倒す。
審判のスクールファイター「KO!」
勝利した門下生「はあはあ・・・」
草薙「よくやったサイクロン鈴木・・・褒めてつかわすぞ・・・」
札束を投げる草薙
札束を拾って礼をする鈴木「お・・・押忍!」
草薙「さて・・・ここでダブルアップのお時間です。
その100万キンポー・・・この私と戦って勝利すれば、二倍にすることができます。
どうしますか?」
声に元気がない鈴木「お・・・押忍・・・」
草薙「その押忍はイエスの押忍か、ノーの押忍か??」
鈴木「ハーフダブルの押忍です・・・」
鈴木を一撃で叩き潰す草薙「ぬうん!!」
鈴木「もぽえ!!」
草薙「退屈だ・・・!!この世界にオレをワクワクさせる格闘家はいないのか・・・!」

王の間の扉がバーンと開く。
門下生たちが吹き飛ばされる。
草薙「ぬう?」
シルビア「はあはあ・・・もうMPがないわよ・・・」
ヨシヒコ「ぜえぜえ・・・なんで100階建てのビルにエレベーターをつけないんだ・・・」
草薙「ほう・・・このアルティメットタワーを登頂できる者が現れたか・・・歓迎するぞ
炎のチャレンジャーよ・・・」
ヨシヒコ「私だよ・・・コマキ社の泉だ・・・」
草薙「おおっ久しいな!わが友よ・・・!
お前の世界のサオリ・ヨシダという生物兵器と戦える約束はどうなったんだ?」
ヨシヒコ「それは、まあ、おいおい・・・
それよりもスパルタン、異世界の魔王と戦いたくはないか?」
草薙「魔王??」
シルビア「ファイトマネーも奮発するわよ・・・」
草薙「・・・そいつはあだ名が魔王なのか?それとも・・・」
ヨシヒコ「地獄の業火を操る本物の悪魔の化身だ・・・」
草薙「ならファイトマネーなんか要らねえ・・・すぐにやらせてくれ。」
シルビア「・・・たかが格闘家のあなたに倒せるかしら?」
指を鳴らす草薙「言うじゃねえかナイチンゲール・・・」
ヨシヒコ「君の強さを疑うわけじゃないが、まずは試験を受けて欲しいんだ・・・」
草薙「試験だと?」
ヨシヒコ「簡単な試験だ。ほんの3000人の軍隊を全員ノックアウトして欲しい・・・」
草薙「3000か・・・難しいな・・・」
シルビア(・・・さすがに無理だった・・・?)
ヨシヒコ(う・・・うん・・・)
草薙「すまん1ラウンド5分で倒せる自信がねえ・・・10分くれ。」
ポカンと口を開けるヨシヒコとシルビア「・・・・・・。」

――「九龍」の格闘技世界チャンプ、スパルタン草薙が仲間になった!
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