ETDの雑用係

とりい とうか

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十一章 ランスロット

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 そうしてノーイたちが教会の動向を調べ始めて数日後。事態は急転した。終わりの始まりは、怪我を負ったシェムハザがエロトラップダンジョンに逃げ込んできたことだった。

「流石に戦士長……いえ、今は騎士団長でしたか、彼を騎士団の目の前で殺す訳にもいきませんし」
「その他の騎士は?」
「棒立ちの人間っていい的になると思いません?」
「その発想は魔王とかそういう類のモンスターのものなんだよなぁ!!」

 とはいえ、時間さえあれば神魔法や聖魔法の専門家たる大神官である。割と深めの傷を負っていたはずだったのだが今や無傷である。強いていえば、神官服にぽっかりと開いた穴であったりざっくりと開いた裂け目であったりが怪我の存在の証明となるだろうか。
 あるいは、ダンジョンの床に点々と散り、最上階の客間的な空間に広がった血の痕だとか。何でコイツあの怪我でここまでこれた上に全然へこたれてないのかな……とノーイは半眼でシェムハザを見やった。とてもいい笑顔が返ってきたので目を逸らす。
 そんなシェムハザ曰く、彼は彼なりに鉛入りの葡萄酒について調べていたのだが、その途中で教皇から異端として槍玉に挙げられたらしい。その話を聞いたノーイはさもありなんと深く納得したが、これまたシェムハザ曰くその訴えの内容は荒唐無稽かつ事実無根、全くのでたらめだったとのこと。
 故に、シェムハザは無実を示すために動こうとしたのだが、教皇は王国の貴族と手を結んでシェムハザに騎士団を差し向けた。抵抗しようがしまいが、抵抗したとして殺すつもりだったようだ、とは途中から話に混ざった星詠みの巫女、アリーシャの言である。何でそんなことがわかるのかがわからなくて、ノーイはそっと目を閉じた。

「とはいえ数には勝てず……心臓と頭を死守しつつ、追手を撒いてここに逃げ込んだ次第です」
「本当にちゃんと撒いてきた?」
「多分」
「撒けてないっぽいですよ」

 更に話に混ざってきたのは、元冒険者のジューダス。窓から望遠鏡を突き出して、ダンジョンの入口を見ているようだ。

「武装した集団が……白い鎧は騎士団ですね、黒い法衣は教会の神官兵。それから冒険者かな、装備にばらつきがありますが、おおよそ初級から中級かと」
「全然撒けてない!!」
「面目次第もございません」
「でも、ダンジョンへの突入はためらっているみたいですね。まぁ、このダンジョンは人数でどうにかなるものではありませんし、通路がそう広くないので数の利も活かせませんからしばらくは入ってこないと思いますよ」

 そうジューダスが結論づけて、少しばかり首を傾げる。何だろう、とノーイが疑問を抱いた直後、彼は再び口を開く。

「取り敢えず、低層の触手と中層のサキュバス、インキュバスの皆さんには避難してもらっているので」
「いつの間に?」
「低層の罠は触手の補助的な意味で拘束系が多いので、そこでも時間稼ぎはできると思います。中層もミミックもどきや電撃の罠があるので、数日は持ち堪えられるかと」
「今日のお前は何?」
「エロトラップダンジョンの主に仕える参謀です」
「そっかー急に賢くなるの止めてね、賢くなる前に一言でいいから言ってくれないとすごく怖いから」
「わかりました」
「本当かなぁ……」

 参謀じゃなくなったら忘れてしまうような気がする。ともあれ、ノーイは未だ帰らぬダンジョンの主人がなるべく早く戻ってくるよう祈るしかなかった。
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