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五章 ルサールカ
五
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「何だか私がいなかった間に凄まじいことになってたんですねぇ」
「逆にお前がいたらもっと話がややこしくなってたからいなくて良かったよ本当に」
「おや、私の身を案じてくれて……」
「ないです」
数日後、省魔力で稼働しているため全体的に薄暗いエロトラップダンジョン最上階にて。いつもの冒険者姿のノーイと、大神官シェムハザが向かい合って無駄話をしている。
結局、あの大鬼の残像は大魔女を取り逃がした。ノーイが上級死魔法発動のために集めた魔力の渦の隙を突いて、大魔女は敗走を選んだ。まぁ、ノーイから見れば一応撃退できたし、何より――
「しかし、彼女がそんなことになっていたとは思いもせず」
「他人事みたいな顔してるけどめちゃくちゃ当事者だからな? 狙われてるのはお前!」
「ですが、私は少なくとも彼女と結婚する気はないですし」
「政略結婚? とかあるんじゃないの?」
「政略も何も、彼女と私が結婚することで得する人間はいないので……教会も別に魔女を取り込む必要なんてないですし、塔は純粋に厄介払いとしてここを利用しただけでしょうし」
「利用しないで?」
「ここ、処刑地として優秀なんですよね。種類はまちまちですが大抵の場合まともに生きてはいけない類いの後遺症が残りますし……」
「残りますしじゃないですが?」
ふむ、なんてわざとらしい声を漏らしながら目を伏せるシェムハザ。
「貴方と私が結婚すれば解決」
「しませんねぇ!?」
「そうですか? 私が嬉しいので問題ないかと思ったんですけど」
「私利私欲の化身か? 教会はお前に何を教えてたんだ、清廉潔白になれ」
「死魔法に魅入られてる時点で全て終わりでは? 死は俗世と程遠いものですし」
「俗世と程遠いなら諸々の欲とか何だとかも削ぎ落とされて然るべきでは?」
「あっははは」
「笑い方だけは神官っぽくて爽やかなんだよなぁ!!」
「神官が爽やかというのも皮肉めいていますけどね」
「お前が言うなよ大神官!!」
渾身の叫びであった。西部出身者がいればきゃっきゃとはしゃいで拍手しただろう(西部の人間は基本的に朗らかで、笑顔を至上の美徳としているとの噂だ。また、最後を強めの言葉で締める会話術も西部の人間の特徴だと言われている)。
「まぁ、彼女の根本は用心深くて慎重なので、少なくともすぐに再襲撃してくることはないと思いますよ」
「そうだといいんだけどなぁ」
「私がその場にいたなら手伝いますし」
「いや話がややこしくなるから引っ込んでて。振りとかじゃないぞ、本当に。いや笑うな、それは絶対同意じゃないだろ、出禁にするぞ」
「引っ込んでおきます出禁は嫌です」
「食い気味……!!」
「逆にお前がいたらもっと話がややこしくなってたからいなくて良かったよ本当に」
「おや、私の身を案じてくれて……」
「ないです」
数日後、省魔力で稼働しているため全体的に薄暗いエロトラップダンジョン最上階にて。いつもの冒険者姿のノーイと、大神官シェムハザが向かい合って無駄話をしている。
結局、あの大鬼の残像は大魔女を取り逃がした。ノーイが上級死魔法発動のために集めた魔力の渦の隙を突いて、大魔女は敗走を選んだ。まぁ、ノーイから見れば一応撃退できたし、何より――
「しかし、彼女がそんなことになっていたとは思いもせず」
「他人事みたいな顔してるけどめちゃくちゃ当事者だからな? 狙われてるのはお前!」
「ですが、私は少なくとも彼女と結婚する気はないですし」
「政略結婚? とかあるんじゃないの?」
「政略も何も、彼女と私が結婚することで得する人間はいないので……教会も別に魔女を取り込む必要なんてないですし、塔は純粋に厄介払いとしてここを利用しただけでしょうし」
「利用しないで?」
「ここ、処刑地として優秀なんですよね。種類はまちまちですが大抵の場合まともに生きてはいけない類いの後遺症が残りますし……」
「残りますしじゃないですが?」
ふむ、なんてわざとらしい声を漏らしながら目を伏せるシェムハザ。
「貴方と私が結婚すれば解決」
「しませんねぇ!?」
「そうですか? 私が嬉しいので問題ないかと思ったんですけど」
「私利私欲の化身か? 教会はお前に何を教えてたんだ、清廉潔白になれ」
「死魔法に魅入られてる時点で全て終わりでは? 死は俗世と程遠いものですし」
「俗世と程遠いなら諸々の欲とか何だとかも削ぎ落とされて然るべきでは?」
「あっははは」
「笑い方だけは神官っぽくて爽やかなんだよなぁ!!」
「神官が爽やかというのも皮肉めいていますけどね」
「お前が言うなよ大神官!!」
渾身の叫びであった。西部出身者がいればきゃっきゃとはしゃいで拍手しただろう(西部の人間は基本的に朗らかで、笑顔を至上の美徳としているとの噂だ。また、最後を強めの言葉で締める会話術も西部の人間の特徴だと言われている)。
「まぁ、彼女の根本は用心深くて慎重なので、少なくともすぐに再襲撃してくることはないと思いますよ」
「そうだといいんだけどなぁ」
「私がその場にいたなら手伝いますし」
「いや話がややこしくなるから引っ込んでて。振りとかじゃないぞ、本当に。いや笑うな、それは絶対同意じゃないだろ、出禁にするぞ」
「引っ込んでおきます出禁は嫌です」
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