99 / 188
「最強のライバル?」
3
しおりを挟む「詩音が歌うの~~~!」
「私が先~~~!」
「まあまあ、お二人で歌える曲を選びましょう」
カラオケに行けば、どっちが先に歌うかで揉めて。
「こっちのサンタさん乗ってるのがいい!」
「やだ!クリスマスケーキはノエルって決めてんの!」
「可愛いですね~本物の姉妹のようです。似ているといがみ合うんですねー」
ケーキ屋に行けば、好みの不一致で論争。
「もう飽きた」
「次いこ」
「はい、ただいまっ!」
イルミネーションを見に行けば、1分で飽きてしまい。
「いやだ~~!帝人は詩音と滑るの!」
「わ、私だって主任に捕まってないと立てないんだから!」
「お任せください。二人くらい支えられますので」
スケートに行けば主任の取り合いになり、洋服を見に行けば、どっちの服を見るかでケンカになる。
「もうッ!詩音つまんない!しえ姉ちゃんばっかりずるい!」
機嫌よく洋服を選んでいたところ、詩音はしびれを切らして地団駄を踏んだ。私は肩をすぼめて振り返る。
「でたでた。子供の勝手な言い分。ほんっとーに幼稚なんだから」
詩音はムッとする。
「本当にしえ姉ちゃんばっかりじゃん!」
「そんなことないでしょ!このあとにあんたの服も見に行くんだから!」
「ママたちなら、いつも詩音の好きなところ見せてくれるもん!詩音こういうの知ってる、『おとなげない』っていうんだよ!」
「ハン!大人になった覚えなんてないからね!こっちは骨の髄までお子様ランチでやってきてんのよ!」
詩音は顔を歪めて「うう~~~」と唸った。
ははん。いい気味だ。自分を中心に据えて世界が回ってると思い込んじゃってんだから、これくらいは付き合わせて協調性を学ばせないとね。
伯母さんも甘やかしすぎなんだよ。大人は自分の思い通りになると思ってる典型的な甘やかされて育った生意気な子供になってんじゃないの。主任を呼び捨てにするし、私が欲しいおもちゃは選ばないし、ぜーんぜん可愛くないんだから。
私は詩音を見下し、決め台詞として言った。
「そうそう。最初っからそうやって大人しくしとけばいいのよ」
ついに詩音は、その瞳いっぱいに涙をためて、体の前で服を握り締めた。
あれ……やばい……?
「もういいッ!!詩音かえる!ママのとこに行く!」
このあとの成り行きは、なんとなく想像できた。でも、私も引くに引けなかった。
「あっそー。勝手にすれば?」
やっぱり詩音はその場を走り去った。
しばらく小さくなっていく後ろ姿を見ていたけど、やがて人ごみに紛れて消えた。私は視線を振りはがして、洋服選びに戻る。
「ふ~~~んだッ。詩音がわがままなのがいけないんだから」
でも、すぐ不安になって辺りを見回す。そういえば主任の姿もない。
…………ハッ!
『この寿命すり減らしてでも、這いつくばって詩絵子様と詩音様にぴったりの衣装をみつけて参ります』
『わーい、ラッキー』
主任の言葉を思い出す。
そういえばそんなこと言ってた!正直、主任がなんとかしてくれると思ったから、追いかけなかったのに……!もお~~~!肝心なときにいないんだから!!
「詩音!」
私は人ごみを掻き分けた。けれども、その小さな後ろ姿は、陽炎のように消えていた。
0
お気に入りに追加
182
あなたにおすすめの小説
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
JC💋フェラ
山葵あいす
恋愛
森野 稚菜(もりの わかな)は、中学2年生になる14歳の女の子だ。家では姉夫婦が一緒に暮らしており、稚菜に甘い義兄の真雄(まさお)は、いつも彼女におねだりされるままお小遣いを渡していたのだが……
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?
さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。
私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。
見た目は、まあ正直、好みなんだけど……
「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」
そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。
「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」
はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。
こんなんじゃ絶対にフラれる!
仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの!
実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる