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「ドエムの住むところにロープあり」
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しおりを挟むしかし私のもくろみもむなしく、主任はネオンに光輝く街には目もくれず、あっけなく自宅のマンションへ入っていった。
期待はずれなおりこうな行動に、私とチビ朔はボー…っとマンションを見上げた。
「なんもなかったな」
「そうだね」
「あれ?」
「ん?」
「ここ俺んちじゃん」
「……え!ほんとに!?何階?」
「最上階」
「主任と一緒じゃん!」
「やべーご近所さんかよ」
再びチャーッンス!!
このマンションのセキュリティは面倒なつくりで、タグキーをエレベーターに認証させて、住んでいる階にしか停まれないようになっている。
しかしだ、チビ朔は最上階まで行けるキーを持っている!ということは、主任の部屋にこっそり侵入することもできるのだ!!
「行こうチビ朔!主任の私生活を覗いてやる!」
私は嬉々として大股で歩き出す。
「おいバカ、やめとけって!彼氏の家に突然訪問は地雷だって!家に女連れ込んでるかもしんねーだろ?」
「いいじゃん、それ見たい!」
「はあ!?お別れになるぞ!」
「バッチこーい!!」
「ええっ!」
エントランスを抜けて、エレベーターの前でタグキーをかざしながら、チビ朔はこちらを振り返った。
「するってーと、なにか。お前はあの男前のナイスガイと別れたいってことなのか?」
短く話し終えた私と主任の事情を、チビ朔は総括した。
「イエス」
「イエスって……お前はホントばかだな。自分を客観視できてる?お前レベルで、今の彼氏以上はつかまえられないって。マジで。今でも限界超えてるからな」
なんだこいつ。好き勝手言いやがって。
「でも、ドエムなんだよ?」
伝家の宝刀を抜くように、神妙に言い放つ。
「それくらいどってことねーじゃん」
チビ朔はあっけらかんと言いのける。私の顎が、かくんとおりた。
それくらい……?それくらいって言ったのかこいつは。言うに事欠いて、それくらいだと?
「俺だったら大歓迎だけどなあ、ドエムの彼女。ていうか羨ましいよ、最近の女の子強いからさあ。まあそこを落としていくのが楽しいんだけど」
「それは男と女の違いじゃん!男の人がドエムなのって、なんかこう……なんかこう!!」
「考えてもみろよ。収入ばっちり、将来性ばっちり、見た目ばっちりの3ばっちりだぜ?ドエムくらい大目にみとけって。誰だってさ、大なり小なり性癖ってもんはあるんだよ。完璧な麗人なんてありえないから」
「…………」
そうなのだろうか?確かにドエムという巨大な一点さえ覗けば、こいつの言う通り主任はナイスガイだ。
私が神経質すぎるのだろうか?そういえば美里も、絶えず主任をおすすめしてくるな……。
そうなのか?彼氏がドエムというのは、取るに足りない些細なことなのか?本当はみんなが軽く流せるくらいの小さな欠点にすぎないのだろうか?
そんなあっけらかんと言われると、そういう気がしないでもない……。
悩む私を見て、チビ朔は少し焦った顔をした。
「ま、まあまあまあさあ!そんなに落ち込むなって!考えすぎはよくねーって!」
「でも、ん~……ちょっと私も譲歩しなくちゃなのかなって」
チビ朔はこちらに背を向けて、悩むように頭をかいた。
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