光の部屋、花の下で。

五日目

96 ※

　相手の顔に驚きが広がる。やっぱり気付いていなかったか。苦笑気味にそう思うけれど、「高校くらいまで一緒だったら気が付いた」と言われて、今度は俺のほうが目を見張った。
「何で……何も言わないんだよ……」
　もう何度目かわからない叱責を受ける。この話題で怒られるたび、なぜか響野のほうが感情的になっていく。
「ごめん」とあやまると、相手はほとんど泣きそうな顔をした。
「俺は、一緒にいたかった」
　うつむいた響野の肩にふれ、腕を回して抱き寄せる。湿った肌の感触が心地よかった。腕に力をこめて強く抱きしめると、とたんに自分の中の欲望が動き出す。
　下半身までしっかり相手と密着していたから、響野も同じ状態だとわかった。
　俺の愛撫によって彼が興奮していく姿を見るのは愉たのしかった。両腕をこちらの首に回してもらい、しっかり硬度を保ったお互いのものを一緒に扱しごく。火照った身体の熱を吸い取るように、相手の耳や首筋へ口づければ、刺激に合わせて響野の身体はぴくりと震えた。
　前後する響野の腰に合わせて自分も腰を揺らしながら、片手を彼の尻に置く。徐々にずらして割れ目に指をすべらせ、奥に差し入れると、熱心に下半身を動かしていた響野が、ふいにかくんと首を反らした。
「あ……」
　湯気に溶けそうな声を聞いて、一気に理性が遠のく。
「これ、気持ちいい？」
　問うように、あるいは許可を求めるように後ろへの刺激を続けた。前に向かって突き出していた腰の動きが、しだいに複雑さを帯び、背後の指を追いはじめる。