光の部屋、花の下で。

三尾

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五日目

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 もしかしたら、問いかけ自体に深い意味はなかったのかもしれない。回答が難しいように感じるのは、俺自身の罪悪感がそうさせている可能性もありそうだった。
「まだ、面接の結果が全部出ていないのでわからないんですが、入職先が決まったら、一度、自宅のある名古屋には帰ろうと思ってます。伸也君からも昨日、いつ頃あっちに戻るのかを聞かれて――」
 説明途中の自分の声が、唐突に、空気の抜けた風船みたいにしぼむ。響野に「付き合えるところまでは付き合う」と軽い調子で口約束をしたことを思い出したからだ。
 自分は、いつまで響野のそばにいられるのだろう。
「もともと、神奈川への滞在は一週間くらいを予定していて、俺がこっちにいるあいだ彼をサポートするのが、ふたりで話し合って決めたことでした。けど、見通しが甘かったというか、響野の視力が俺の都合に合わせて回復する保証もないのに、仕事が決まったあとのことまで考えられていたかというと……」
 新しい職場での勤務がはじまったあとも今のように泊まり込みで響野のサポートができるかは何とも言えない。そう告げると、電話口の相手からは、人それぞれ事情があるのだから気に病む必要はない、という主旨の応答が返ってきた。
 フォローしてもらったはずなのに、自分が薄情な人間になったようで、かえって罪悪感が募る。
「あの、でも、せめて代わりの人が見つかるまでは、彼のそばにいたいと思ってます」
「代わりの人というのは?」
「たとえば、視覚障害者の支援に慣れたヘルパーに依頼できないか――とか。障害者支援に詳しい知人がいるので、一度、話を聞いてみようと思って」
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