光の部屋、花の下で。

三尾

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四日目

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 それには、前期の成績でもまだ不十分なはずだった。結局、悪あがきをしているだけなのかもしれない。翌日の授業の予習をしながら、ふと、そんな弱気に襲われるとき、空き教室で聞いた響野の「頑張ろうぜ」という声を思い出した。
 本人は、このところロボットコンテストにかかりきりで、また空き教室に顔を出す頻度が減っている。寂しくなって技術工作室を覗きにいけば、夏休みの頃と同じように横山や先輩らしき部員たちと数人でロボットを操縦したり、真剣に話し合っていたり、ひとりで黙々と機械をいじっていたりした。
 どうやら彼の所属するチームは、県大会を突破できたようだ。去年の結果と比べると大躍進と言って良く、部外者の目から見ても部全体が活気づいて熱を帯びているのがわかる。最近は学校が閉まるぎりぎりまで活動しているらしく、俺と帰宅時間が合うこともなかった。
 その日も、おやじが仕事で遅くなる予定だったので、洗濯物の取り込みと晩飯のしたくをするために、早めに空き教室を出た。一階に降りて技術工作室を覗いてみたけれど、機械を動かすための試運転エリアに人だかりができており、響野に声をかけにくい。ロボットとともに輪の中心にいる彼を見て満足し、特別教室棟を出た。
 いつのまにかすっかり日が短くなり、東の空はすでに夜の青みを帯びている。夕暮れどきの不安定な光は、心がざわついて昔から苦手だった。どこからか不安が押し寄せ、早く家に帰らなければという気分になる。
 スーパーで食材を買ってアパートの二階に戻ると、部屋の中で人の気配がして思わず立ち止まった。泥棒か?と背筋が強ばったのは、ほんの一、二秒で、すぐに玄関ドアが開き、遅番のはずのおやじが出てきたので、それはそれで意表を突かれる。
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