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四日目
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しっかり勉強しろよ、と言うわりに、おやじは俺の学業成績には頓着しない。小学生の頃からそうで、通知表を見せても、中身が良いか悪いかはそれほど気にならないようだった。
いつだったか、「勉強って何をすればいいの?」と聞いたら、「学校へ行け」でも「宿題をやれ」でもなく、「本を読め」と返ってきた。それがおやじの勉強の定義らしい。
読書は嫌いではなかった――というより、むしろ好きだったから、学校をサボった日は家の中で図書館の本を広げて〈勉強〉した。
文化祭が終わって前期の成績表を持ち帰ったときも、おやじはいつものように「おう、お疲れ」と言っただけで中身を詳しくたずねてくることはなかった……ので、中学に入ってから一番良い結果になったことを、重ねて報告した。そうすると今度は、「おお、すごいな! 頑張ったな!」と背中を叩かれ、「そういや、最近よく机に向かってんな~と思ってたんだよ」と熱心に持ち上げられたので、褒めてもらいたい気持ちを見透かされたようで、かえって恥ずかしくなった。
教育熱心とはとても呼べないおやじが気付くほど、俺の勉強時間は増えていた。期末テストで復習をしっかりやったおかげか、授業にもついていきやすくなっている。理解さえできれば、どの教科もそこまで退屈ではなかった。
テストが終わったあともコツコツと頑張っている理由を、おやじは聞いてこなかったけれど、もしも質問されたら、高校受験のためと答えるつもりでいた。単願で受けられる公立校の数を増やすため。できれば、友達と一緒の高校を受けるため。
いつだったか、「勉強って何をすればいいの?」と聞いたら、「学校へ行け」でも「宿題をやれ」でもなく、「本を読め」と返ってきた。それがおやじの勉強の定義らしい。
読書は嫌いではなかった――というより、むしろ好きだったから、学校をサボった日は家の中で図書館の本を広げて〈勉強〉した。
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テストが終わったあともコツコツと頑張っている理由を、おやじは聞いてこなかったけれど、もしも質問されたら、高校受験のためと答えるつもりでいた。単願で受けられる公立校の数を増やすため。できれば、友達と一緒の高校を受けるため。
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