光の部屋、花の下で。

三尾

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四日目

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 手づかみでピザを食べながら響野のデスクトップパソコンで観たのは、アダルトコンテンツではなく、動画サイトに公開されたミュージックビデオやライブ映像だった。
 ついでにいくつかのバンドの来日ツアーもチェックして、チケットの金額にため息をつく。
 高校生になったら絶対にアルバイトをしようと思った。といっても、肝心の進路をまだ決めていないけれど。
 ついこのあいだ期末テストが終わったばかりなのに、来月はもう後期の中間テストが控えている。
 きらきらと色の変わる照明に照らされたアーティストたちをながめながら、中学のあとも続いていく通過点について考えた。
 学生生活を終えて大人になった自分の姿は、まだうまく想像できない。
 だけど、中学に入るときに思い描いた未来の一部は、どうやら俺には訪れそうもないと自覚するようにはなっていた。たとえば、響野の家族のような家族を自分が持つことは、たぶんないのだろう。
 俺の嫌なことを知ろうと、わざわざ聞いてくれた友達の横顔を盗み見て、パソコンのライブ映像に視線を戻す。
 響野が好きだった。
 でも、それをきちんと伝えられない。俺に勇気がないせいか。あるいは、自分の将来に感じる先の見えなさと関係しているのだろうか。
 どういうことが嫌か?というなら、そういうもの全部を嫌だと思う。


  *  *  *  *  *


 決して大きな期待を抱いていたつもりはなかった。
 それでも十数年前、記憶を頼りにさまよった町が、当時に輪をかけて知らない場所に見えたことは、自分の過去そのものが存在していなかったような心細さを呼び起こした。
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