光の部屋、花の下で。

三尾

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四日目

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「鳥は捕まえたらだめだぞ。鳥獣保護法ってのがあってな」
「し、知ってます。捕まえたわけじゃありません」
 和田はケージの中の鳩を示し、羽根をケガしていることと保護するまでのいきさつを話した。動物虐待を疑われたことが屈辱だったのか、温厚な彼にはめずらしく頬のあたりが紅潮している。
「鳩の件は伊藤いとう先生も知ってますよ。体育の授業中だったから」
 俺が言い添えると、松本の一重の目が再びこちらを向いた。
「昨日の体育です。俺も見てました」
 となりに立った響野が、やはり加勢するように言う。普段はこんな風に前に出るほうではないので、思わず横目で相手の様子をうかがった。
 俺たちの答えを聞いた松本は、もう一度、ふむと眉を上げる。軽く腕を組んだまま再度確認するように、大型のからくり装置と、鳩入りのケージ、床の上の運動マットやCDラジカセを順番に見ていった。
 眠たげな表情の奥で相手が迷っている気配を感じる。無言の横顔を見て、教師も悩んだりするんだなと思った。スポーツの審判みたいに、あらかじめ設定されたルールを元に、学校内で起きたことのアウトとセーフを判定するだけのような気がしていたからだ。
 やがて腕組みを解いた松本は、今度は室内にいる五人の生徒の顔にひとりずつ視線を移動させる。
「わかった、また見にくる。今日はもう下校時刻だし、全員帰りなさい」
 これは、セーフの判定だろうか?
 判断に迷ってとなりの響野を見た。俺の視線に気付いた彼は、どういうわけか気まずそうに目を伏せる。
 松本に急かされながら、それぞれがリュックやカバンを手に帰り支度をはじめた。すがすがしいほどの仏頂面を浮かべた安西が最後に教室を出る。
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