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三日目
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横山がインタホンを押した。四角い機械の中央にある丸いレンズの存在に気付いたとき、マイクのスイッチが入って『開いてるから入ってこいよ』と響野の声が告げる。
門のないアプローチを通って四人が玄関ポーチにたどり着く前に、内側からドアが開いて響野が顔を出した。私服を着ている以外は、いつも学校で会う彼と特に変わった様子はない。
おはよう、と言いかけた俺の声にかぶせるように、家の奥から別の人間の足音が聞こえてくる。
「伸也、お友達きたの? ああ、いらっしゃい」
響野の肩のあたりから顔を覗かせた女性は、切れ長のすっきりした目が響野によく似ていた。その女性のさらに後ろに、ふたりと同じ目をした小学生くらいの女の子が立っている。
「どうぞー、上がって上がって」
急き立てられるように全員玄関ホールに招き入れられ、「ども」「しゃっす」と口々に挨拶らしきものをしぼり出して靴を脱ぐ。
和田がドーナツの包みを響野の母親に渡すと、そばにいた妹が「わあ」と目を輝かせて彼女から袋を奪いとった。
「ありがとう。気を遣わせちゃってごめんね。伸也、飲み物を用意するから取りにきてくれる?」
部屋は二階だという響野に率いられて階段に向かう直前、ドーナツの袋を持った彼の妹がじっとこちらを見ているのに気が付いた。もの怖じしない視線をどう受け止めれば良いかわからなくてあいまいに笑みを返す。
途中で通り抜けた居間は広々としていた。掃き出し窓のガラスの向こうで、夏の日差しを浴びた庭木が枝を揺らしている。その奥には公園の緑が連なり、実際よりもずっと多くの木が植わっているように見えた。住宅地の一角ではなく、山奥の一軒家にきたみたいだ。
門のないアプローチを通って四人が玄関ポーチにたどり着く前に、内側からドアが開いて響野が顔を出した。私服を着ている以外は、いつも学校で会う彼と特に変わった様子はない。
おはよう、と言いかけた俺の声にかぶせるように、家の奥から別の人間の足音が聞こえてくる。
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「どうぞー、上がって上がって」
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「ありがとう。気を遣わせちゃってごめんね。伸也、飲み物を用意するから取りにきてくれる?」
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途中で通り抜けた居間は広々としていた。掃き出し窓のガラスの向こうで、夏の日差しを浴びた庭木が枝を揺らしている。その奥には公園の緑が連なり、実際よりもずっと多くの木が植わっているように見えた。住宅地の一角ではなく、山奥の一軒家にきたみたいだ。
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