光の部屋、花の下で。

三尾

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三日目

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 室内機の下で当然のようにTシャツの襟をはためかせている安西に「おまえ部外者だろ」とツッコミたくなったけれど、それを見ている俺自身が同じ場所で涼みながら宿題をやっていたから、少しも相手のことは言えなかった。
 夏休み中の技術部は、顧問の教師が不在にしている日が多く、部員たちも両手(ときには片手)で足りるくらいの数しか出てこない。
 響野の説明では、電動ドリルや卓上ボール盤などの工作機械は顧問の立ち会いがなければ使えないので、夏休み中は週一回の活動日を決め、それ以外の日にくるかどうかは各自が判断して良いらしい。十月の文化祭までに自分の作品を完成させられるのであれば、スケジュール管理は個人の裁量に任されているという話だった。
 活動内容に自由度が高いせいか、技術部は外部の生徒にも寛容だ。見て見ぬふりをしてもらえることを幸いに、教室のすみで読書感想文用の課題図書を読み、各教科からどっさり出ているプリントやワークを解いた。ここ何日かは、飼育委員の活動を終えた和田も勉強道具持参で参加している。
 俺と和田の手元を覗きこんだ安西は、机の上に広げられた藁半紙が数学の宿題プリントであることに気付くと、うえっ、と顔をしかめた。
「マジメかよ……」
「普通だろ。もう八月だし」
「安西君、久しぶりだねー。宿題やってる?」
 俺が反論するわきで、和田はあっけらかんと非現実的な質問を投げた。
「そのうちやる」
「もうやれよ。休み明けにテストだぞ」
 本人が嫌がるのを承知ではっぱをかけてやる。
 五週間の夏休みが終わると、二週間ほどのインターバルを置いて期末テストがひかえていた。夏休みは前期の総復習と試験対策に励む期間と位置づけられていて、宿題の量はうんざりするほど多い。
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