光の部屋、花の下で。

三尾

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二日目

25

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 響野は電源コードを再びコンセントにつないだ。それから工具箱のわきに置いてあったむき出しのCDを指さして、「使っていいか?」と聞く。
 くすんだ黄色っぽいレーベルに見覚えがあると思ったら俺の物だった。再生しようとして果たせないまま、ラジカセの中に入れっぱなしにしていたらしい。もちろん、使うことはかまわなかったのでOKする。
「分解して組み立てるときって、“ネジが一本余ったぞ”みたいなことにはならないんだね」
「本体を一度にバラすと、そういうときもある。大体はネジ一本じゃすまないけどな」
「それで動くの?」
「……動いたり動かなかったり、かな……」
 小学生の頃に色々な物を壊した前科があるので、家の機械を分解することは禁止されている、と響野は言った。
 意外な打ち明け話におかしくなる。余った部品と動かない機械を前に困っている彼の姿は想像しにくかった。いつも淡々として、大抵のことはそつなくこなしてしまえるイメージがあったから。
 トレイの内部でCDがしばらく回転して止まる。ディスプレイにアルバムのタイトルと曲数と再生時間が表示されたのを見て、「読んだな」と響野がつぶやいた。その声音で順調にいっているのがわかる。爪の短い指先が再生ボタンを押すと、わずかなノイズのあとでスピーカーからキーの高い歌声と伴奏が同時に聞こえてきた。
 ……ほら、こんな風に、大抵のことはそつなくこなしてしまえるのに。
 となりでは響野の黒い目がじっとCDラジカセに注がれている。特に喜んでいる様子はなく、表情もいつもと変わらない感じがしたけれど、構わずに大きめの声で「響野」と呼んだ。
 こちらを向いた彼の顔の前に、大きく片手を広げる。
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