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DAY7
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花音が送ってきたメッセージには、水元に関する、まったく別の情報も書いてあった。
読み上げを聞いた響野は、これは何だろう?と首をかしげる。
返信をどうするか迷っていたとき、運転手に目的地の詳しい場所を聞かれた。
「公園のとなりのでっかいおうちでいいんですかね?」
降りるタイミングが近いことを知って、響野はLINEを中断する。
でっかいおうち、か。
今晩もそこで独りで眠ることを考えると、ひどく寂しかった。本当にたった一週間で自分が別人になった気がする。今までどうやって耐えていたのだろう。
響野は目を閉じて、別れ際に「ありがとう」と手を握ってきた水元の手の感触を思い出そうとした。
明日になれば、彼はここに帰ってくる。……帰ってくるはずだ。
未来には何の保証もないから、それはあくまで自分の希望的観測と言えた。
あるいは願いか。もっと言えば、祈りに近いものかもしれない。今日を一緒にすごした相手と、明日も一緒にいられますように、と。
今感じている寂しさは、決して愉快な感情ではなかったが、それが自分を明日へと押し出してくれていることにも響野は気付いていた。
水元に会いたかった。
……早く、明日がくればいい。
寂しさが未来を連れてきたのだ。
〈DAY7 了〉
読み上げを聞いた響野は、これは何だろう?と首をかしげる。
返信をどうするか迷っていたとき、運転手に目的地の詳しい場所を聞かれた。
「公園のとなりのでっかいおうちでいいんですかね?」
降りるタイミングが近いことを知って、響野はLINEを中断する。
でっかいおうち、か。
今晩もそこで独りで眠ることを考えると、ひどく寂しかった。本当にたった一週間で自分が別人になった気がする。今までどうやって耐えていたのだろう。
響野は目を閉じて、別れ際に「ありがとう」と手を握ってきた水元の手の感触を思い出そうとした。
明日になれば、彼はここに帰ってくる。……帰ってくるはずだ。
未来には何の保証もないから、それはあくまで自分の希望的観測と言えた。
あるいは願いか。もっと言えば、祈りに近いものかもしれない。今日を一緒にすごした相手と、明日も一緒にいられますように、と。
今感じている寂しさは、決して愉快な感情ではなかったが、それが自分を明日へと押し出してくれていることにも響野は気付いていた。
水元に会いたかった。
……早く、明日がくればいい。
寂しさが未来を連れてきたのだ。
〈DAY7 了〉
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