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DAY7
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佳子と山崎のLINEに返信したあと、響野は花音とのトーク画面を開いてしばらく考えていた。
事故と視力の件について黙っていたことを詫びてから、今しがた車内で考えたことをそのまま送る。
弱さも迷いも含んだメッセージが、シュッと軽い音をたてて飛んでいった。
もしも人生のどこかで、一生残るような深く大きな傷を負ってしまったら、それから先の時間をどのようにすごしていけばいいだろう。
傷を癒やすことに費やすのか、傷の原因となったものを恨んで生きるのか。
響野はスマホを握った手を脚の上に置いて、車の外を移動していく街の明かりに目を向ける。
ぼやけた光をながめるうちに、何となく、幸福でいればいいんじゃないかな、と考えた。
伯母が言うように、起きたことはただ起きただけで、運命に意味などないとすれば、あるのは自分の選択だけだ。
生きられるだけ生きてみればいいのではないか。愚直に日々を重ねて、ものを作ったり、好きな人といたり……自分ひとりでも、誰かと一緒でも、心の動く方向へ。
手の中のスマートフォンが鳴って花音からのLINEが届いた。送ったメッセージに対する返信は、なぜかあまり書かれておらず、聖を頼む、とある。近いうちに本当に遊びにきてほしい、とも。
「響野さんと聖のことをもっと知れたらいいと思っています」
事故と視力の件について黙っていたことを詫びてから、今しがた車内で考えたことをそのまま送る。
弱さも迷いも含んだメッセージが、シュッと軽い音をたてて飛んでいった。
もしも人生のどこかで、一生残るような深く大きな傷を負ってしまったら、それから先の時間をどのようにすごしていけばいいだろう。
傷を癒やすことに費やすのか、傷の原因となったものを恨んで生きるのか。
響野はスマホを握った手を脚の上に置いて、車の外を移動していく街の明かりに目を向ける。
ぼやけた光をながめるうちに、何となく、幸福でいればいいんじゃないかな、と考えた。
伯母が言うように、起きたことはただ起きただけで、運命に意味などないとすれば、あるのは自分の選択だけだ。
生きられるだけ生きてみればいいのではないか。愚直に日々を重ねて、ものを作ったり、好きな人といたり……自分ひとりでも、誰かと一緒でも、心の動く方向へ。
手の中のスマートフォンが鳴って花音からのLINEが届いた。送ったメッセージに対する返信は、なぜかあまり書かれておらず、聖を頼む、とある。近いうちに本当に遊びにきてほしい、とも。
「響野さんと聖のことをもっと知れたらいいと思っています」
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