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DAY7
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「明日、再診の日だったよな?」
問われてしばらく考えたあと、自分の目の話か、と気が付いた。
「俺、退院したらそっちの病院に回ろうか?」
「いいよ。伯母さんも付き添ってくれる予定だから」
まだ回復の兆しをみせない視界に響野は眉をひそめる。昼間よりも視力が戻るのが遅かった。
ベッドのとなりに腰かけた水元が、目の横のこめかみのあたりにふれてくる。
「ちゃんと診てもらえよ?」
「病院に縁があるな、お互いに」
おどけると、相手はかすかに笑い声のようなものをもらした。
自分の家族のことや、視力の件は、水元の家族には伝わっているのだろうか?
気になって響野は聞いてみる。こちらの顔にふれていた手を下ろして「おやじには言ったよ」と水元は答えた。
「花音さんには、きちんと説明する時間がなかったんだけど……きっと今頃、おやじが話してるんじゃないかな」
「それは気まずいな」
「え?」
「さっきLINEを交換したから」
答えた直後に、まるで見はからったようにスマートフォンの通知が鳴った。気付かないふりをしようとしたのに、「何かきたよ」とわざわざ水元が教えてくる。
「見えるようになったら見るからいいよ」
「花音さんだったりして」
響野は首だけ動かして水元をながめる。ようやく視力が戻りはじめ、相手の輪郭と顔の中身がわかるようになってきた。
問われてしばらく考えたあと、自分の目の話か、と気が付いた。
「俺、退院したらそっちの病院に回ろうか?」
「いいよ。伯母さんも付き添ってくれる予定だから」
まだ回復の兆しをみせない視界に響野は眉をひそめる。昼間よりも視力が戻るのが遅かった。
ベッドのとなりに腰かけた水元が、目の横のこめかみのあたりにふれてくる。
「ちゃんと診てもらえよ?」
「病院に縁があるな、お互いに」
おどけると、相手はかすかに笑い声のようなものをもらした。
自分の家族のことや、視力の件は、水元の家族には伝わっているのだろうか?
気になって響野は聞いてみる。こちらの顔にふれていた手を下ろして「おやじには言ったよ」と水元は答えた。
「花音さんには、きちんと説明する時間がなかったんだけど……きっと今頃、おやじが話してるんじゃないかな」
「それは気まずいな」
「え?」
「さっきLINEを交換したから」
答えた直後に、まるで見はからったようにスマートフォンの通知が鳴った。気付かないふりをしようとしたのに、「何かきたよ」とわざわざ水元が教えてくる。
「見えるようになったら見るからいいよ」
「花音さんだったりして」
響野は首だけ動かして水元をながめる。ようやく視力が戻りはじめ、相手の輪郭と顔の中身がわかるようになってきた。
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