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DAY7
46
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「誰かさんと一緒じゃないか」
水元は意表を突かれたように、たっぷり三秒ほど沈黙した。
「……言ったな?」
「言ったよ」
応じると、相手は「こいつ」とふざけ半分の攻撃をしかけてくる。丸椅子に座っていた響野のわきをくすぐり、逃げようと身をよじった彼の腕や手首をつかんで動きを封じた。
「よせ、馬鹿」と抗議するが、ろくな抵抗もできないうちにベッドに押し倒される。視力が効かないのもそうだが、元々、腕力でも負けているので、取っ組み合いは分が悪い。
「誰のせいで心配性だと思ってるんだよ」
「騒いでると看護師さんに叱られるぞ」
相手に組み敷かれたまま、響野は自分の上に乗っている水元を見上げる。ただのじゃれ合いだとわかっていても、ずっとこんな体勢で密着していると場違いな欲望がわいてきそうだ。
病院のベッドでなんて、AVみたいでアレだよなと考えたとき、水元がはっとしたように息を呑んだ。
「もしかして見えてないの?」
視線の動きでバレたのだろうか。響野はにじんだ色のかたまりに見える水元の顔に目をやる。
「昨日と同じだよ。見えたり、見えなかったり」
たちまち相手から悪ふざけの気配が消えた。水元は響野の上から降りると、腕を引いて起き上がるのを助けてくれる。
水元は意表を突かれたように、たっぷり三秒ほど沈黙した。
「……言ったな?」
「言ったよ」
応じると、相手は「こいつ」とふざけ半分の攻撃をしかけてくる。丸椅子に座っていた響野のわきをくすぐり、逃げようと身をよじった彼の腕や手首をつかんで動きを封じた。
「よせ、馬鹿」と抗議するが、ろくな抵抗もできないうちにベッドに押し倒される。視力が効かないのもそうだが、元々、腕力でも負けているので、取っ組み合いは分が悪い。
「誰のせいで心配性だと思ってるんだよ」
「騒いでると看護師さんに叱られるぞ」
相手に組み敷かれたまま、響野は自分の上に乗っている水元を見上げる。ただのじゃれ合いだとわかっていても、ずっとこんな体勢で密着していると場違いな欲望がわいてきそうだ。
病院のベッドでなんて、AVみたいでアレだよなと考えたとき、水元がはっとしたように息を呑んだ。
「もしかして見えてないの?」
視線の動きでバレたのだろうか。響野はにじんだ色のかたまりに見える水元の顔に目をやる。
「昨日と同じだよ。見えたり、見えなかったり」
たちまち相手から悪ふざけの気配が消えた。水元は響野の上から降りると、腕を引いて起き上がるのを助けてくれる。
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