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DAY7
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「そう。さっきそこで聖に会って。検査結果が出たって言うから夫は診察についてったんですよ。うちらは病室にヒビノさんがいるって聞いたから、先に行って挨拶しとこうと思って」
にこりと笑った母親のそばに子供が駆け寄り、親とよく似た顔でこちらを見上げた。屈託のない笑みを浮かべた口元に、母親の顔には見当たらないえくぼがある。
響野はふたりに向かって頭を下げた。
「ご挨拶が遅れてすみません。響野伸也です」
「みずもとまりです!」と子供が元気よく挨拶を返す。
「万里はあたしが産んだんで、聖とは血のつながりはないんです。そのへんの事情は聞いてます?」
「水元から多少は」
「そっか……」
母親はうなずき、少し思案したあとで「じゃ、今から三人でランチに行こう」と唐突に言った。
え?とつぶやいた響野の声をかき消して「いくー!」と応えたのは万里だ。そして思い出したように、「おなかがすいた」と騒ぎはじめる。
「病院の中に食堂があったでしょ。もうお昼だし、何か食べながら話しませんか?」
「水元や……水元のおやじさんはどうするんですか?」
「診察が終われば追いかけてくるって。知らせとくから」
にこりと笑った母親のそばに子供が駆け寄り、親とよく似た顔でこちらを見上げた。屈託のない笑みを浮かべた口元に、母親の顔には見当たらないえくぼがある。
響野はふたりに向かって頭を下げた。
「ご挨拶が遅れてすみません。響野伸也です」
「みずもとまりです!」と子供が元気よく挨拶を返す。
「万里はあたしが産んだんで、聖とは血のつながりはないんです。そのへんの事情は聞いてます?」
「水元から多少は」
「そっか……」
母親はうなずき、少し思案したあとで「じゃ、今から三人でランチに行こう」と唐突に言った。
え?とつぶやいた響野の声をかき消して「いくー!」と応えたのは万里だ。そして思い出したように、「おなかがすいた」と騒ぎはじめる。
「病院の中に食堂があったでしょ。もうお昼だし、何か食べながら話しませんか?」
「水元や……水元のおやじさんはどうするんですか?」
「診察が終われば追いかけてくるって。知らせとくから」
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