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DAY7
27
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「……紹介するから……」
うわずった声が言うのにうなずき返したところで、響野は、はたと思いいたる。
「言っておくけど、今日は本当に挨拶くらいしかできないぞ」
「え、“今日は”って?」
「こんな格好だし、手土産も何も用意してない」
「な、何の話だよ?」
恋人の家族に会う話じゃないかと思うのだが、そこは水元も理解しているからこそ狼狽えるのだろう。
「そういう意味での“挨拶”は日を改めてしたい」
「えっ、いいよ、そんな急に……色々考えはじめなくても……」
水元の声はどんどんしどろもどろになっていく。寝間着のすそを子供のように落ち着かないしぐさで引っ張っている様子を見て、また先走りすぎただろうか?と響野は心配になった。
「俺も」
寝間着をきつく握りしめながら相手は何かを言おうとする。視線を向けると、目のふちが赤く染まった顔を向けてきた。
「俺は、佳子さんに挨拶をすればいいのかな?」
潤んだ両目を向けられて、響野はまたたく。
「伯母さんは俺たちのこと、もう知ってるよ」
「そうだけど」
うわずった声が言うのにうなずき返したところで、響野は、はたと思いいたる。
「言っておくけど、今日は本当に挨拶くらいしかできないぞ」
「え、“今日は”って?」
「こんな格好だし、手土産も何も用意してない」
「な、何の話だよ?」
恋人の家族に会う話じゃないかと思うのだが、そこは水元も理解しているからこそ狼狽えるのだろう。
「そういう意味での“挨拶”は日を改めてしたい」
「えっ、いいよ、そんな急に……色々考えはじめなくても……」
水元の声はどんどんしどろもどろになっていく。寝間着のすそを子供のように落ち着かないしぐさで引っ張っている様子を見て、また先走りすぎただろうか?と響野は心配になった。
「俺も」
寝間着をきつく握りしめながら相手は何かを言おうとする。視線を向けると、目のふちが赤く染まった顔を向けてきた。
「俺は、佳子さんに挨拶をすればいいのかな?」
潤んだ両目を向けられて、響野はまたたく。
「伯母さんは俺たちのこと、もう知ってるよ」
「そうだけど」
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