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DAY7
24
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「ひげが生えてるな」
「生えてるよ。それでシェーバーを頼んだんだから」
ベッド横の台に置いた荷物には水元から追加で頼まれた身の回り品が入っている。公衆電話は無事に見つかったようで、家を出る前に非通知の電話をもらった。
「響野は、全然生えないよな」
「そんなわけないだろう」
「あるって。ほら」
そう言いながら、ぺたぺたとこちらの顎をさわってくる水元の手をよけて「剃ったんだよ」と言い返す。一瞬前までの甘い空気から、あっという間に中学当時のようなじゃれ合うノリに変わってしまい、その落差にため息が出た。恋人半分、友人半分といったところだ。
考えてみれば、水元と一緒にすごした時間は、中学生だった頃のほうがずっと長い。それすらも一年と少しくらいしかなかった。
ふざけ合いが一段落したところで、響野は昨日のパイプ椅子を引っ張り出して腰かけ、水元は個室の小さな洗面台の鏡に向かって電気シェーバーを使いはじめる。
検査についてたずねると、もう受けたあとで、今は結果待ちだという返事がきた。
「身体はどうなんだ? 痛みとか」
「まあ、大丈夫だよ」
「生えてるよ。それでシェーバーを頼んだんだから」
ベッド横の台に置いた荷物には水元から追加で頼まれた身の回り品が入っている。公衆電話は無事に見つかったようで、家を出る前に非通知の電話をもらった。
「響野は、全然生えないよな」
「そんなわけないだろう」
「あるって。ほら」
そう言いながら、ぺたぺたとこちらの顎をさわってくる水元の手をよけて「剃ったんだよ」と言い返す。一瞬前までの甘い空気から、あっという間に中学当時のようなじゃれ合うノリに変わってしまい、その落差にため息が出た。恋人半分、友人半分といったところだ。
考えてみれば、水元と一緒にすごした時間は、中学生だった頃のほうがずっと長い。それすらも一年と少しくらいしかなかった。
ふざけ合いが一段落したところで、響野は昨日のパイプ椅子を引っ張り出して腰かけ、水元は個室の小さな洗面台の鏡に向かって電気シェーバーを使いはじめる。
検査についてたずねると、もう受けたあとで、今は結果待ちだという返事がきた。
「身体はどうなんだ? 痛みとか」
「まあ、大丈夫だよ」
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