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DAY6
64
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「明日、行って平気か?」
「かまわないよ。水元は今、出かけてるけど、安西たちのことは懐かしがってたから、会えば喜ぶと思う」
「水元ね」と安西は言う。ようやく状況が飲み込めてきたのだろう、声のトーンが落ち着きを取り戻していた。
「あいつ、いきなりいなくなったからな」
「一応、引っ越しの理由は聞いてみた。家庭の事情だったらしい」
「そんなこた、わかりきってんだよ。親がクソだと子供は苦労するんだ」
どのような相づちを打てばよいかわからなくて、響野はベッドの上で身じろぎする。
「おまえも黙って消えられてスゲー荒れてたじゃん。どうしたよ、水元に会って」
「別に普通だよ。久しぶりだなって挨拶して」
「そこは殴っとけよ」
「今さらか?」と苦笑がもれた。
「殴るのは無理だ。本当に……世話になってるんだ」
「ふぅん。じゃ、キスでもしたのか?」
「は?」
盛大に声が裏返り、しまった、と響野は口を押さえる。安西が黙り込んだのを感じて、どうにか言い繕わねばと思うが、何も考えつかなかった。
「そういや、俺も和田に会ったぜ。こないだ」
こちらが焦っているあいだに、安西はおもむろに話題を変える。
「かまわないよ。水元は今、出かけてるけど、安西たちのことは懐かしがってたから、会えば喜ぶと思う」
「水元ね」と安西は言う。ようやく状況が飲み込めてきたのだろう、声のトーンが落ち着きを取り戻していた。
「あいつ、いきなりいなくなったからな」
「一応、引っ越しの理由は聞いてみた。家庭の事情だったらしい」
「そんなこた、わかりきってんだよ。親がクソだと子供は苦労するんだ」
どのような相づちを打てばよいかわからなくて、響野はベッドの上で身じろぎする。
「おまえも黙って消えられてスゲー荒れてたじゃん。どうしたよ、水元に会って」
「別に普通だよ。久しぶりだなって挨拶して」
「そこは殴っとけよ」
「今さらか?」と苦笑がもれた。
「殴るのは無理だ。本当に……世話になってるんだ」
「ふぅん。じゃ、キスでもしたのか?」
「は?」
盛大に声が裏返り、しまった、と響野は口を押さえる。安西が黙り込んだのを感じて、どうにか言い繕わねばと思うが、何も考えつかなかった。
「そういや、俺も和田に会ったぜ。こないだ」
こちらが焦っているあいだに、安西はおもむろに話題を変える。
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