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DAY5
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「どうだろうな」
同じくあいまいに答えて響野はファイルを閉じる。
客間に布団を片付けた水元は、夕食の支度のためにキッチンに近づいてきた。相手が作業台にきた気配を感じて響野は顔を上げる。
「何か手伝うことあるか?」
「いいよ。疲れてるだろ」
「じゃあ、さっきの話の続きをしないか?」
手を洗っていた水元が、蛇口のレバーを上げて水を止めた。キッチンの棚を開けながら、まな板だの包丁だのを出しているようだ。
「晩飯のあとのほうがいいんじゃないかな……昨日みたいに議論のせいで食事どころじゃなくなるのは、もうごめんだ」
「今度はちゃんと食べるよ」
相手は小さく息を吐くと、こちらを向いた。響野の背中をぐいぐいと押してキッチンスペースから追い出しにかかる。
「すぐに作るから、そこで待っててよ」
響野はわざわざダイニングまで連れていかれ、椅子を引いて腰かけさせられた。
「電話は誰からだったんだ?」
「由香里先輩。明日の件で」
響野が首をかしげると、何かに気付いたように、水元は「ああ」と声をあげる。
「施設長なんだよ。今日、行くはずだった施設の」
「あの、オープン前だっていう?」
同じくあいまいに答えて響野はファイルを閉じる。
客間に布団を片付けた水元は、夕食の支度のためにキッチンに近づいてきた。相手が作業台にきた気配を感じて響野は顔を上げる。
「何か手伝うことあるか?」
「いいよ。疲れてるだろ」
「じゃあ、さっきの話の続きをしないか?」
手を洗っていた水元が、蛇口のレバーを上げて水を止めた。キッチンの棚を開けながら、まな板だの包丁だのを出しているようだ。
「晩飯のあとのほうがいいんじゃないかな……昨日みたいに議論のせいで食事どころじゃなくなるのは、もうごめんだ」
「今度はちゃんと食べるよ」
相手は小さく息を吐くと、こちらを向いた。響野の背中をぐいぐいと押してキッチンスペースから追い出しにかかる。
「すぐに作るから、そこで待っててよ」
響野はわざわざダイニングまで連れていかれ、椅子を引いて腰かけさせられた。
「電話は誰からだったんだ?」
「由香里先輩。明日の件で」
響野が首をかしげると、何かに気付いたように、水元は「ああ」と声をあげる。
「施設長なんだよ。今日、行くはずだった施設の」
「あの、オープン前だっていう?」
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