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DAY5
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考え込むような山崎の声がしたかと思うと、彼の座っている方向でソファがきしんだ。
「それでは、響野さんのケースで考えられる解決案をいくつかまとめてお送りします。資料の照合が必要なので、社に戻ってからにはなりますが……そちらを参考にしていただくのはいかがでしょうか。無論、案を採用するかどうかは、響野さんの判断におまかせします」
「示談に関わってしまっていいんですか?」
響野がたずねると、これはただの助言で、交渉ごとには当たらない、と山崎は説明した。
「メールを見ていただいて、不明点があるようでしたらご連絡ください」
そこまで言ってから、相手はようやく響野の目のことを思い出したらしい。めずらしく困惑した口調で、「メールで大丈夫ですか?」とたずねた。
「大丈夫です。音声で読み上げられるので」
思わず、小さく咳払いをしながら響野は答える。
山崎には合成音声がよく似合う、などという感想を抱いたことがあるのは内緒だ。
「どうぞ、お大事になさってください」
「ありがとうございます……」
渋い声で真摯に心配されてしまい、ますます気まずさが募る。
きわめつけは、用事を終えて帰ろうとする山崎を見送ったときだった。
「それでは、響野さんのケースで考えられる解決案をいくつかまとめてお送りします。資料の照合が必要なので、社に戻ってからにはなりますが……そちらを参考にしていただくのはいかがでしょうか。無論、案を採用するかどうかは、響野さんの判断におまかせします」
「示談に関わってしまっていいんですか?」
響野がたずねると、これはただの助言で、交渉ごとには当たらない、と山崎は説明した。
「メールを見ていただいて、不明点があるようでしたらご連絡ください」
そこまで言ってから、相手はようやく響野の目のことを思い出したらしい。めずらしく困惑した口調で、「メールで大丈夫ですか?」とたずねた。
「大丈夫です。音声で読み上げられるので」
思わず、小さく咳払いをしながら響野は答える。
山崎には合成音声がよく似合う、などという感想を抱いたことがあるのは内緒だ。
「どうぞ、お大事になさってください」
「ありがとうございます……」
渋い声で真摯に心配されてしまい、ますます気まずさが募る。
きわめつけは、用事を終えて帰ろうとする山崎を見送ったときだった。
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