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DAY5
52
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「お金に関わる仕事が綺麗事ではすまないことくらいわかります。だけど、響野は今、あなたを頼ってるんです。自動車保険の手続きなんて素人にはわからないんですから。清廉潔白でないとか、自分を悪い人間のように言って開き直られてしまったら、じゃあ、こっちはどう動けばいいんですか。山崎さんは響野の味方なんですよね?」
「……おい水元――」
声をかけて止めようとするが、それよりも早く「もしも味方じゃないなら、味方になってください」と水元が続けて、今度こそ絶句した。
あわてて山崎を見やり、佳子にも視線を移す。今のぼやけた目では、どちらの表情も伺い知れない。わかりきっていたことだが、もどかしかった。
「味方とか、敵とか、そういう話じゃないんだ」
「じゃあ、どういう話だよ?」
水元はたずねる。つっかかるような言い方ではなかったから、純粋に疑問に思っているらしい。
契約の話だ、と答えかけて、途中で自信がなくなり、響野は口を閉じた。
保険というのは契約で、今の場合は、要するに金の話だ。山崎にとっては仕事の話でもある。
だが、自分にとっては何の話なのだろう。同じように金の話なのか。それとも別の意味があるのだろうか。
「確かに、水元さんのおっしゃる通りです。どのような選択肢があるかもわからない状態で決断を迫るのは公正ではない」
「……おい水元――」
声をかけて止めようとするが、それよりも早く「もしも味方じゃないなら、味方になってください」と水元が続けて、今度こそ絶句した。
あわてて山崎を見やり、佳子にも視線を移す。今のぼやけた目では、どちらの表情も伺い知れない。わかりきっていたことだが、もどかしかった。
「味方とか、敵とか、そういう話じゃないんだ」
「じゃあ、どういう話だよ?」
水元はたずねる。つっかかるような言い方ではなかったから、純粋に疑問に思っているらしい。
契約の話だ、と答えかけて、途中で自信がなくなり、響野は口を閉じた。
保険というのは契約で、今の場合は、要するに金の話だ。山崎にとっては仕事の話でもある。
だが、自分にとっては何の話なのだろう。同じように金の話なのか。それとも別の意味があるのだろうか。
「確かに、水元さんのおっしゃる通りです。どのような選択肢があるかもわからない状態で決断を迫るのは公正ではない」
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