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DAY5
29
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「保険会社の方がみえたら俺は外したほうがいいですよね」
佳子の気を逸らそうというつもりなのか、いち早く昼食を終えた水元が席を立ちながら言った。質問をしたというよりは、あらかじめ決定済みの事項を再確認するような言い方だった。
「どうなの、伸也?」
いきなり話を振られて、「俺?」と伯母を見返す。
「いてほしいなら、きちんと頼んだほうが良いし、外してもらいたいとしても、やっぱり言ったほうがいいと思うわ」
意味がわからないままテーブルのそばに立っている水元を見上げると、相手も戸惑った様子でこちらを見下ろしてきた。
あの、と水元の声が伯母に向かう。
「何か、誤解があるんじゃないでしょうか」
「誤解?」
「俺は、ひび……伸也君の友達ですけど、ご家族とは特別に親しくさせてもらっていたわけじゃありません。保険会社の方がくるということは、事故と保険金の話をされるんですよね? そんなに大事な話に同席する資格はないと思います」
「法定相続人や保険金受取人しかこの場にいてはいけないのなら、私にも同席する資格はないわ。でも、実際にはそんなルールはないのよ」
「佳子さんは響野の伯母さんですから」
「水元君も面接の予定をキャンセルしてここにいてくれているんじゃないの?」
佳子の気を逸らそうというつもりなのか、いち早く昼食を終えた水元が席を立ちながら言った。質問をしたというよりは、あらかじめ決定済みの事項を再確認するような言い方だった。
「どうなの、伸也?」
いきなり話を振られて、「俺?」と伯母を見返す。
「いてほしいなら、きちんと頼んだほうが良いし、外してもらいたいとしても、やっぱり言ったほうがいいと思うわ」
意味がわからないままテーブルのそばに立っている水元を見上げると、相手も戸惑った様子でこちらを見下ろしてきた。
あの、と水元の声が伯母に向かう。
「何か、誤解があるんじゃないでしょうか」
「誤解?」
「俺は、ひび……伸也君の友達ですけど、ご家族とは特別に親しくさせてもらっていたわけじゃありません。保険会社の方がくるということは、事故と保険金の話をされるんですよね? そんなに大事な話に同席する資格はないと思います」
「法定相続人や保険金受取人しかこの場にいてはいけないのなら、私にも同席する資格はないわ。でも、実際にはそんなルールはないのよ」
「佳子さんは響野の伯母さんですから」
「水元君も面接の予定をキャンセルしてここにいてくれているんじゃないの?」
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