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DAY5
27
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佳子の質問は、そのまま響野が心配していたことでもあった。思わず箸を繰る手を止めて、ふたりのやり取りに耳をすませる。
「大丈夫です。面接といっても、今日のは半分、顔出しみたいなもので……」
カップ焼きそばの白いケースの縁を弄びながら水元は答えた。
本人の説明によると、今日訪問する予定になっていた応募先とは、水元の知り合いが関わっている介護施設だったらしい。
「まだオープン前なんです。スタッフの募集も正式にはかけていなくて……俺も、とりあえず挨拶ができればくらいのつもりだったので」
言葉遣いは佳子に対するものだ ったが、話している最中、水元は何度か響野にも顔を向けてきた。おそらく、サニタリールームで聞かれたときにぼかした回答の続きをしているつもりなのだろう。
「そのお知り合いは偉い人?」と伯母はたずねる。
「施設長です」
「なんだ。それなら採用は決まったようなものね」
あっけらかんとした佳子の口調に「どうでしょう」と水元は笑った。
「興味があったら見にくるといい、としか言われてないです」
「雇う気もない相手に声はかけないと思うけれど。見学に行くときは、条件交渉もするつもりでいたほうがいいわよ」
「大丈夫です。面接といっても、今日のは半分、顔出しみたいなもので……」
カップ焼きそばの白いケースの縁を弄びながら水元は答えた。
本人の説明によると、今日訪問する予定になっていた応募先とは、水元の知り合いが関わっている介護施設だったらしい。
「まだオープン前なんです。スタッフの募集も正式にはかけていなくて……俺も、とりあえず挨拶ができればくらいのつもりだったので」
言葉遣いは佳子に対するものだ ったが、話している最中、水元は何度か響野にも顔を向けてきた。おそらく、サニタリールームで聞かれたときにぼかした回答の続きをしているつもりなのだろう。
「そのお知り合いは偉い人?」と伯母はたずねる。
「施設長です」
「なんだ。それなら採用は決まったようなものね」
あっけらかんとした佳子の口調に「どうでしょう」と水元は笑った。
「興味があったら見にくるといい、としか言われてないです」
「雇う気もない相手に声はかけないと思うけれど。見学に行くときは、条件交渉もするつもりでいたほうがいいわよ」
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