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DAY4
36
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響野の口が重たいのを見た佳子は、水元とのことにそれ以上ふれてこようとはしなかった。自分が口を出す話ではない、というのは、どうやら彼女の本心だったようだ。
それでも伯母が、響野をサニタリールームへと引っ張ってきたのは、甥は本当はこの件を相談したくて自分に連絡をしてきたのではないか、と彼女なりに気を回したためらしい。
「私だって恋愛の専門家じゃないけれど、悩んで頼ってこられたのなら応えなきゃと思ったのよ」
響野は丁重に、しかしきっぱりと彼女の申し出を辞退した。
サニタリールームの密談はすぐに終わったものの、自室で服を着替えるあいだも響野はそのことを考えていた。
いや、本当は昨日からずっと考えていた。自分はいったい、水元のことをどう思っているのだろうと。
気は合う、と思う。話していると楽しい。芯の通った性格を好ましいとも感じている。そういうところは中学生の頃から変わらない。
だが、相手にさわりたいと思ったり、相手の声が聞きたかったりすることについてはどうだろう。
はっきりとは覚えていないが、中学時代に水元を“そういう対象”として意識したことはなかったと思う。そもそも恋愛そのものをよくわかっていなかったというのもある。
それでも伯母が、響野をサニタリールームへと引っ張ってきたのは、甥は本当はこの件を相談したくて自分に連絡をしてきたのではないか、と彼女なりに気を回したためらしい。
「私だって恋愛の専門家じゃないけれど、悩んで頼ってこられたのなら応えなきゃと思ったのよ」
響野は丁重に、しかしきっぱりと彼女の申し出を辞退した。
サニタリールームの密談はすぐに終わったものの、自室で服を着替えるあいだも響野はそのことを考えていた。
いや、本当は昨日からずっと考えていた。自分はいったい、水元のことをどう思っているのだろうと。
気は合う、と思う。話していると楽しい。芯の通った性格を好ましいとも感じている。そういうところは中学生の頃から変わらない。
だが、相手にさわりたいと思ったり、相手の声が聞きたかったりすることについてはどうだろう。
はっきりとは覚えていないが、中学時代に水元を“そういう対象”として意識したことはなかったと思う。そもそも恋愛そのものをよくわかっていなかったというのもある。
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