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DAY4
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「二回もあやまったのに、まだ怒ってるの?」
「別に怒ってるわけじゃない」
「じゃあ、もう一度あやまるよ。何も言わずにいなくなってごめん」
水元は前かがみになっていた上半身を起こす。顔の向きから相手の目が自分に据えられているらしいのを感じたが、どこに視線を返せばそれを受け止めたことになるのかはわからなかった。
「響野は、出来が良いから、今まであんまり他人をあてにしないで生きてきたんだろ」
いきなり問われて響野はまたたく。
「何の話だ?」
「人に頼る話だよ」
「家族の話をしてたはずだ」
「それはやめよう。たぶん楽しくないし」
ため息の混じった声で水元は言う。
人に頼る話だってウキウキする感じじゃないけどな、と響野は考えた。ここ数日で、自分の側に問題がありそうなことは薄々とわかってきている。
「俺は響野みたいに強くないから、他人の助けがないと、どうにもならない時期があった。今もあるよ。あんなふうに完璧だったら良いのにって、ずっと思ってた」
自分ではないような自分の話をされて響野は戸惑う。
「……今は何の話だ?」
「人に頼る話だってば」と水元は答えた。
「別に怒ってるわけじゃない」
「じゃあ、もう一度あやまるよ。何も言わずにいなくなってごめん」
水元は前かがみになっていた上半身を起こす。顔の向きから相手の目が自分に据えられているらしいのを感じたが、どこに視線を返せばそれを受け止めたことになるのかはわからなかった。
「響野は、出来が良いから、今まであんまり他人をあてにしないで生きてきたんだろ」
いきなり問われて響野はまたたく。
「何の話だ?」
「人に頼る話だよ」
「家族の話をしてたはずだ」
「それはやめよう。たぶん楽しくないし」
ため息の混じった声で水元は言う。
人に頼る話だってウキウキする感じじゃないけどな、と響野は考えた。ここ数日で、自分の側に問題がありそうなことは薄々とわかってきている。
「俺は響野みたいに強くないから、他人の助けがないと、どうにもならない時期があった。今もあるよ。あんなふうに完璧だったら良いのにって、ずっと思ってた」
自分ではないような自分の話をされて響野は戸惑う。
「……今は何の話だ?」
「人に頼る話だってば」と水元は答えた。
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