109 / 446
DAY4
19
しおりを挟む
水元は前に向き直ると「いただきます」と手を合わせる。
人の声にはずいぶんたくさんの情報が詰まってるんだな、と響野は感心した。
表情は見えなくても、今の水元はとても機嫌が良さそうだ。響野と伯母の会話の内容がそんなに嬉しかったのか。それとも自分の提案が聞き入れられて気分がいいのだろうか。
横並びで座っていると、どうしても部屋でのことが思い出されて気まずかった。昨日の自分の行動は、相手にはどのように受け止められているのだろう。
考えているうちに再び身体の中がざわつきはじめた気がして、響野はさりげなくダイニングチェアに手をかけると、椅子ごと水元から遠ざかった。
初対面にもかかわらず、あるいは初対面だからと言うべきなのか、昼食を取るあいだ、佳子と水元は色々な話をしていた。天気やニュースのような当たり障りのない話題から、お互いの仕事のこと、病院で響野と再会した経緯など、会話の内容はあちこちへ飛んでいる。
世間話をスムーズに続ける能力にとぼしい響野は、会ったばかりの年上の人間とそこそこ楽しげに雑談できる同居人を尊敬する。
伯母は水元の“聖”という名に興味を覚えたようだった。
「めずらしい名前だけれど、ご実家がお寺なの?」
「いえ、そういうわけでは」と水元は笑う。
人の声にはずいぶんたくさんの情報が詰まってるんだな、と響野は感心した。
表情は見えなくても、今の水元はとても機嫌が良さそうだ。響野と伯母の会話の内容がそんなに嬉しかったのか。それとも自分の提案が聞き入れられて気分がいいのだろうか。
横並びで座っていると、どうしても部屋でのことが思い出されて気まずかった。昨日の自分の行動は、相手にはどのように受け止められているのだろう。
考えているうちに再び身体の中がざわつきはじめた気がして、響野はさりげなくダイニングチェアに手をかけると、椅子ごと水元から遠ざかった。
初対面にもかかわらず、あるいは初対面だからと言うべきなのか、昼食を取るあいだ、佳子と水元は色々な話をしていた。天気やニュースのような当たり障りのない話題から、お互いの仕事のこと、病院で響野と再会した経緯など、会話の内容はあちこちへ飛んでいる。
世間話をスムーズに続ける能力にとぼしい響野は、会ったばかりの年上の人間とそこそこ楽しげに雑談できる同居人を尊敬する。
伯母は水元の“聖”という名に興味を覚えたようだった。
「めずらしい名前だけれど、ご実家がお寺なの?」
「いえ、そういうわけでは」と水元は笑う。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
33
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる