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DAY4
16
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正午はかなり前にすぎていたが、食事をすませた者は誰もいなかったので、話題は自然と昼食のことになった。
佳子が持ってきたのは、彼女の職場近くの惣菜店で売っている弁当だった。雑誌に掲載されることも多い人気店らしいが、グルメ情報にうとい響野は「へえ」と言う以上の相づちを思いつけず、伯母から不興を買った。
水元がスーツを着替えに行っているあいだ、佳子は人数分の食事をダイニングのテーブルの上に用意する。先ほど朝食をすませたばかりだった響野は、腹が減っていないと辞退したが、伯母はひと口でも食べたほうが良いと反対に説得をしてきた。
「少し痩せたんじゃない? ちゃんと食べてるの?」
「食べてるよ」
どうして食事のことばかり気にされるのだろうと思いながら響野は答える。
「ひょっとすると何食か抜かしたこともあったかもしれないけど、水元がきてからはちゃんと食べてる」
「そうなのね、水元君が」
復唱する伯母の声は、何やら妙な具合だった。言葉に合わせて通路のほうを向いたのは、着替えに行った水元が戻ってきていないかを確かめたらしい。
「何?」
佳子の様子をいぶかしんで響野はたずねる。
佳子が持ってきたのは、彼女の職場近くの惣菜店で売っている弁当だった。雑誌に掲載されることも多い人気店らしいが、グルメ情報にうとい響野は「へえ」と言う以上の相づちを思いつけず、伯母から不興を買った。
水元がスーツを着替えに行っているあいだ、佳子は人数分の食事をダイニングのテーブルの上に用意する。先ほど朝食をすませたばかりだった響野は、腹が減っていないと辞退したが、伯母はひと口でも食べたほうが良いと反対に説得をしてきた。
「少し痩せたんじゃない? ちゃんと食べてるの?」
「食べてるよ」
どうして食事のことばかり気にされるのだろうと思いながら響野は答える。
「ひょっとすると何食か抜かしたこともあったかもしれないけど、水元がきてからはちゃんと食べてる」
「そうなのね、水元君が」
復唱する伯母の声は、何やら妙な具合だった。言葉に合わせて通路のほうを向いたのは、着替えに行った水元が戻ってきていないかを確かめたらしい。
「何?」
佳子の様子をいぶかしんで響野はたずねる。
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