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DAY4

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「伸也から聞いてるかしら。この祭壇や葬儀は、妹夫婦が事前に手配していたの。だから、遺影もたぶん慶子が自分で選んだんでしょう。私は、もう少しあの子らしい写真にすれば良かったのにと思うけれど……」
 背の高いグレーの人影と、小柄な黒い人影がそろって祭壇のほうを向いている。
 水元の髪はとなりの佳子と比べると色が明るかった。輪郭がわずかに波打っているのは、中学生の頃から変わらないくせ毛のためだろう。
「いい写真だと思います、俺は」
 やはり遠慮がちに水元は言った。高い位置にある頭が動いて、かたわらの伯母とダイニングの椅子に座っている響野のほうを向く。
 水元がどんな表情をしているのかはわからなかった。スマートフォンの細かな画面と同じように、相手の目も口もぼやけて見えないからだ。
 ただ、声が……もしも声が、感情や顔の筋肉と連動しているのだとしたら、そこにあるのは彼自身が感じている哀しみのように思えた。響野や佳子への同情ではなく。
 ふと、自分が水元の顔を見たいと思っていることに響野は気が付いた。昨日ふれた皮膚の感触がよみがえり、あわててグレーの影から目を逸らす。
 心臓のあたりがにわかに騒がしくなったのも、身体が少し熱を持ちはじめたように感じるのも、何もかもが不本意だった。


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