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DAY2
15
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くみこみ?と不思議そうな声で聞かれて、響野はトーストを咀嚼しながら言葉を探した。業界以外の人間に自分の仕事内容を説明するのは、いつでも少し骨の折れる作業だった。
組み込み機器に実装するソフトウェアの設計と開発? ……ダメだな。
「家電やOA機器なんかを制御するためのプログラムを作る仕事、かな」
水元からは「ふうん?」とわかったような、わからないような声での相づちがある。
「ざっくり言うとコンピュータ関連?」
だいぶざっくりだと響野は苦笑した。しかしたぶん、方向性は間違っていない。南極は南の方角にあるというのと似た意味において。
「電機メーカーに勤めてて、家庭向け電化製品を作る部署のひとつにいる」
「電機メーカーってどこの」
響野が企業名を告げると、水元は、ひゅうと口笛を吹いた。
「大手だ、すごいね」
「すごくない。採用人数がケタ違いだから潜り込めたクチだよ」
「でたな、勝ち組の理論」
「違う。工学部卒ってのは、だいたいそういう感じなんだ。大学と企業のあいだで話が出来あがってて、学校推薦を受ければあっさり決まる。就活にそれほど苦労しないでいいのは理系学生のメリットだけどな」
もっとも、それによって企業の選択肢が狭まったり、就活の軸がブレやすかったりもするから良し悪しだと言える。
組み込み機器に実装するソフトウェアの設計と開発? ……ダメだな。
「家電やOA機器なんかを制御するためのプログラムを作る仕事、かな」
水元からは「ふうん?」とわかったような、わからないような声での相づちがある。
「ざっくり言うとコンピュータ関連?」
だいぶざっくりだと響野は苦笑した。しかしたぶん、方向性は間違っていない。南極は南の方角にあるというのと似た意味において。
「電機メーカーに勤めてて、家庭向け電化製品を作る部署のひとつにいる」
「電機メーカーってどこの」
響野が企業名を告げると、水元は、ひゅうと口笛を吹いた。
「大手だ、すごいね」
「すごくない。採用人数がケタ違いだから潜り込めたクチだよ」
「でたな、勝ち組の理論」
「違う。工学部卒ってのは、だいたいそういう感じなんだ。大学と企業のあいだで話が出来あがってて、学校推薦を受ければあっさり決まる。就活にそれほど苦労しないでいいのは理系学生のメリットだけどな」
もっとも、それによって企業の選択肢が狭まったり、就活の軸がブレやすかったりもするから良し悪しだと言える。
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