40 / 446
DAY2
12
しおりを挟む
「洗面所のはさみやカミソリは、さわると危ないからしまってあるんだ。必要なら言ってよ」
はさみは問題ないが、カミソリはひげを剃るのに使っている。しかし、今の目の状態でカミソリを使用することが、そもそも危険な行為かもしれない。
事情を説明すると、水元は「じゃあ、剃ってやろうか?」と言って、自分の荷物から電気シェーバーを持ってきた。シャワーから出た響野をダイニングの椅子に座らせ、慣れた手つきでシェーバーを動かしていく。
「介護士ってひげ剃りもするのか?」
あまりに手慣れているので、思わず質問が出た。
「するよ」と友人は答える。
「ひげ剃りだけじゃなくて、入所者さんの洗顔とか歯磨き、爪切り、あとは髪のブラッシングもね。整容っていうんだ」
顎にふれる手の動きは、声と同じく、やわらかいながらもきびきびとしている。〈仕事モード〉というわけだ。
「でも、安全面や法律なんかの関係もあって、現場でのはさみやカミソリの使用には制限がある。ひげ剃りなら、T字型のカミソリはNGで、電気シェーバーはOKとかね」
「なるほど、勉強になる」
「そうだろ。響野も将来、介護を受けるときには電気シェーバーを忘れずに用意しろよ」
水元が笑い含みの声で言った。
はさみは問題ないが、カミソリはひげを剃るのに使っている。しかし、今の目の状態でカミソリを使用することが、そもそも危険な行為かもしれない。
事情を説明すると、水元は「じゃあ、剃ってやろうか?」と言って、自分の荷物から電気シェーバーを持ってきた。シャワーから出た響野をダイニングの椅子に座らせ、慣れた手つきでシェーバーを動かしていく。
「介護士ってひげ剃りもするのか?」
あまりに手慣れているので、思わず質問が出た。
「するよ」と友人は答える。
「ひげ剃りだけじゃなくて、入所者さんの洗顔とか歯磨き、爪切り、あとは髪のブラッシングもね。整容っていうんだ」
顎にふれる手の動きは、声と同じく、やわらかいながらもきびきびとしている。〈仕事モード〉というわけだ。
「でも、安全面や法律なんかの関係もあって、現場でのはさみやカミソリの使用には制限がある。ひげ剃りなら、T字型のカミソリはNGで、電気シェーバーはOKとかね」
「なるほど、勉強になる」
「そうだろ。響野も将来、介護を受けるときには電気シェーバーを忘れずに用意しろよ」
水元が笑い含みの声で言った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
33
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる