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DAY AFTER
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自分たちがどうするかは、まだ決めていない。
ひとくちに樹木葬といっても様々な形式がある中で、いずれは墓に収まりきらなくなる高木をあえて植えるという選択は、両親の死生観を表しているようにも思えた。
その一方で、墓を管理する子供たちのために複数の選択肢を用意していくあたりも、両親らしいと言えば両親らしい。
ぼんやりとシイの木を見つめていると、水元が腕にふれてきた。響野の注意を促すように、石畳の道の先に視線を向ける。
水元の示した先には複数の人影が見えた。ひとりはこの墓地まで一緒にきた佳子伯母だ。その伯母と並ぶように歩いている人物を見て、響野は水元とともに腰を上げる。
「事務所に行ったら、ちょうどお会いしたの」
ふたりの元までやってきた佳子は、かたわらの人影を見ながら告げた。
喪服に身を包んだ柳沼智美が深々と頭を下げる。
響野は少し遅れて会釈を返した。
彼女の背後には、同じく喪服姿の若い男性が控えていて、彼とも一瞬だけ目が合う。誰だろう?と思ったが、失礼にならない間合いで視線を逸らした。
「今日は、お声をかけて下さってありがとうございました」
うつむきがちの細い声が下のほうから聞こえてくる。
いいえ、と響野は応えた。
ひとくちに樹木葬といっても様々な形式がある中で、いずれは墓に収まりきらなくなる高木をあえて植えるという選択は、両親の死生観を表しているようにも思えた。
その一方で、墓を管理する子供たちのために複数の選択肢を用意していくあたりも、両親らしいと言えば両親らしい。
ぼんやりとシイの木を見つめていると、水元が腕にふれてきた。響野の注意を促すように、石畳の道の先に視線を向ける。
水元の示した先には複数の人影が見えた。ひとりはこの墓地まで一緒にきた佳子伯母だ。その伯母と並ぶように歩いている人物を見て、響野は水元とともに腰を上げる。
「事務所に行ったら、ちょうどお会いしたの」
ふたりの元までやってきた佳子は、かたわらの人影を見ながら告げた。
喪服に身を包んだ柳沼智美が深々と頭を下げる。
響野は少し遅れて会釈を返した。
彼女の背後には、同じく喪服姿の若い男性が控えていて、彼とも一瞬だけ目が合う。誰だろう?と思ったが、失礼にならない間合いで視線を逸らした。
「今日は、お声をかけて下さってありがとうございました」
うつむきがちの細い声が下のほうから聞こえてくる。
いいえ、と響野は応えた。
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