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DAY AFTER
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よく整えられた芝生の表面に、近くの広葉樹から落ちた枯れ葉が散っていた。
敷地内に伸びる石畳の道は、ところどころに休憩用のベンチが据えられ、その上にも何枚かの落ち葉が乗っている。
石畳の両わきは、小ぶりのレンガで区切られた四角形や三角形の植樹スペースになっていた。中の三分の二ほどに木が植えられている。どの木も比較的細くて、まだ若い。墓地全体がオープンして十年と経っていないせいもあるのだろう。
それでも、響野の前にある三本の苗木は、一年の月日を経て、だいぶ育っているように見えた。
樹木葬墓地という場所柄、火気は厳禁で、ろうそくを灯したり、線香をあげたりするような場所は設けられていない。花や供え物も、持参するのは自由だが最後には持ち帰るように言われている。
宗教も宗派もないから数珠も持ってきていないし、毎回手ぶらできて手ぶらで帰るのがここでの作法のようなものらしかった。
手を合わせる響野の横で、水元が腰を落として石畳の上にしゃがみ込む。
最初に挨拶にきたときこそ喪服を着たが、今日はふたりとも多少身ぎれいな格好をしている程度だった。
三本の苗木をじっと見つめていた水元は、おもむろに口を開き、「こんにちは」と話しはじめる。
敷地内に伸びる石畳の道は、ところどころに休憩用のベンチが据えられ、その上にも何枚かの落ち葉が乗っている。
石畳の両わきは、小ぶりのレンガで区切られた四角形や三角形の植樹スペースになっていた。中の三分の二ほどに木が植えられている。どの木も比較的細くて、まだ若い。墓地全体がオープンして十年と経っていないせいもあるのだろう。
それでも、響野の前にある三本の苗木は、一年の月日を経て、だいぶ育っているように見えた。
樹木葬墓地という場所柄、火気は厳禁で、ろうそくを灯したり、線香をあげたりするような場所は設けられていない。花や供え物も、持参するのは自由だが最後には持ち帰るように言われている。
宗教も宗派もないから数珠も持ってきていないし、毎回手ぶらできて手ぶらで帰るのがここでの作法のようなものらしかった。
手を合わせる響野の横で、水元が腰を落として石畳の上にしゃがみ込む。
最初に挨拶にきたときこそ喪服を着たが、今日はふたりとも多少身ぎれいな格好をしている程度だった。
三本の苗木をじっと見つめていた水元は、おもむろに口を開き、「こんにちは」と話しはじめる。
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