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DAY5
8
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「してないけど、なぜかバレた。それより“佳子さん”って何だよ?」
「そ、それよりって」
「どうして水元は女性をすぐに下の名前で呼びたがるんだ」
ええ?と当惑したように相手はつぶやいた。
「何それ? どういう意味?」
「俺とか……中学の連中のことは名字で呼ぶじゃないか」
「響野も下の名前で呼んだほうがいい?」
「別に」
頬が熱くなったのをごまかそうと、響野はそっぽを向く。
「どうしてって言われても、俺の伯母さんじゃないもの。本人はその呼び方で良いって言ってたよ?」
答えてから、水元は何かを思いついたように、ああ、と声をあげた。
「そうか。響野、伯母さんっ子なのか」
「違う。言っておくけど、告白するのだって最終的には自分で決めたぞ。ずっと隠してるのもすっきりしなかったし、ちゃんと自覚して自制しないと、またセクハラをしそうだったから」
話しているうちに猛烈な気まずさが込み上げてきて、響野は口を閉じる。こんなことを、何を堂々と口走っているのだろうと思った。
セクハラね、と水元がつぶやく。
「でも、俺、男だし」
「……性別は関係ないと思う。俺が女だったらセーフってわけじゃないのと一緒だよ」
「そ、それよりって」
「どうして水元は女性をすぐに下の名前で呼びたがるんだ」
ええ?と当惑したように相手はつぶやいた。
「何それ? どういう意味?」
「俺とか……中学の連中のことは名字で呼ぶじゃないか」
「響野も下の名前で呼んだほうがいい?」
「別に」
頬が熱くなったのをごまかそうと、響野はそっぽを向く。
「どうしてって言われても、俺の伯母さんじゃないもの。本人はその呼び方で良いって言ってたよ?」
答えてから、水元は何かを思いついたように、ああ、と声をあげた。
「そうか。響野、伯母さんっ子なのか」
「違う。言っておくけど、告白するのだって最終的には自分で決めたぞ。ずっと隠してるのもすっきりしなかったし、ちゃんと自覚して自制しないと、またセクハラをしそうだったから」
話しているうちに猛烈な気まずさが込み上げてきて、響野は口を閉じる。こんなことを、何を堂々と口走っているのだろうと思った。
セクハラね、と水元がつぶやく。
「でも、俺、男だし」
「……性別は関係ないと思う。俺が女だったらセーフってわけじゃないのと一緒だよ」
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